空想メカ現実に? 翼も付替え可能なモジュラー軍用機 ロールスロイスなど協力、優位性は
エンジンはおろか、胴体後部や主翼、コックピットまで「付け替え」が可能なモジュラー構造の軍用機が現実味を帯びてきました。その開発を進めるイギリスのベンチャー企業が、大企業などからの協力を次々と獲得しています。
「コア」を中心に組み立てていくモジュラー戦闘機
アニメ『機動戦士ガンダム』で地球連邦軍が初期に開発したモビルスーツは、コアファイターと呼ばれる軽戦闘機にパーツを組み合わせることで、ガンダム、ガンキャノン、ガンタンクという、用途の異なる3種類のモビルスーツとして運用できる仕組みとなっていました――このような兵器が、もしかしたら現実になるかもしれません。
2021年10月現在、イギリスのベンチャー企業アエラリス(Aeralis)が、とある軍用機の開発を進めています。コア(中核)となる部分へ、用途に最適化したパーツを付け替えることで、複数の用途に使用できるというものです。
この軍用機は主に、多くの国で課題を抱えている練習機への導入が想定されています。
戦闘機パイロットの養成に使用する練習機は、プロペラ機の初等練習機、亜音速で飛行するジェット機の中等練習機、超音速または超音速に近い速度(遷音速)で飛行するジェット機の高等練習機と、3種類に分けることができます。航空自衛隊も2006(平成18)年まで高等練習機のT-2を運用していましたが、T-2の退役後はF-15Jの複座型F-15DJやF-2の複座型F-2Bを高等練習機の代わりとして使用しています。
中等練習機に比べてコストが高く、戦闘機の複座型でも代用可能な高等練習機という機種は、航空自衛隊のみならず世界的に少なくなっています。しかしF-22やF-35といった第5世代戦闘機は複座型が開発されておらず、また戦闘機のコックピットの電子機器が高度化していることなどから、中等練習機での教育を終えた学生パイロットには戦闘機に近い環境での訓練を行う「LIFT」(Lead-In Fighter Trainer)と呼ばれる練習機の必要性が高まりつつあります。
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