空想メカ現実に? 翼も付替え可能なモジュラー軍用機 ロールスロイスなど協力、優位性は
イギリス空軍の「顔」になる可能性も
筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)はアエラリスのモジュラー構造軍用機をベンチャー企業の打ち上げ花火だと思っていたのですが、2021年2月17日に、イギリス空軍で戦闘機の新技術開発などを担当する「ラピッド・カバレッジ・オフィス」(RCO)とアエラリスがモジュラー軍用機の研究開発契約を締結したことで、認識を改めたというのが正直なところです。
翌3月には、フランスの防衛システム大手企業であるタレスのイギリス法人タレスUKとの間で、モジュラー軍用機の訓練とシミュレーターの開発に、2021年9月7日にはイギリスのエンジニアリング大手のアトキンス、ドイツの防衛システム大手のシーメンスの両社との間で、デジタルエンジニアリング技術において協力することでそれぞれ合意し、覚書への署名を行っています。
さらに2021年9月15日には世界的なエンジンメーカーであるロールス・ロイスとの間でも、ロールス・ロイスが研究開発を進めている将来の推進技術をモジュラー式ジェット軍用機に活用する方法について共同で検討していくことで合意したほか、カタールの政府系ファンドから、1億500万ポンドの資金を得たことも明らかになるなど、モジュラー軍用機の実用化は、にわかに現実味を帯びつつあります。
ところで、イギリス空軍のアクロバットチーム「レッドアローズ」が使用している「ホーク」練習機は老朽化が進んでおり、イギリス国防省は2021年末までにホークの後継機に関する意志決定を行うとも報じられています。
アエラリスが発表しているモジュラー軍用機のイメージ画像には、レッドアローズと同じ真紅の塗装が施された機体が描かれていますが、アニメに登場するメカのようなアエラリスのモジュラー軍用機が、イギリス空軍の「顔」と言うべきレッドアローズの使用機になる日が来るのかもしれません。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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