「JR東日本の駅そば店といえば」にしたい ブランド乱立は歴史の象徴 いま統一化を図る理由
それでも崩さない駅そば「らしさ」
――一方、「そばいち」のコンセプトについては?
JR赤羽駅のエキナカ商業施設「エキュート」内にあるのが1号店で、エキュートの開発業者側からの出店要請により生まれました。「きらく」は駅の食堂というイメージで、そば・うどんだけでなく、カレーライスやカツ丼なども提供しています。これに対して「そばいち」は、そば専門店というコンセプトを打ち出し、うどんは扱いません。ごはんものはありますが、そばとのセットが基本です。
――だから「そばいち」なのですね。
生そばと自家製のかき揚げで両者は共通していますが、「そばいち」では“乗せモノ”にこだわっています。たとえば、従来は単に「コロッケそば」とするところを、埼玉・狭山産の里芋を使っているので「狭山のさといもコロッケそば」とし、商品名で強くアピールしました。
店舗は藍色を基調に、藍染の暖簾を入り口付近に設置しています。内装は和柄を随所にあしらい、和食器などのオブジェを配し、そば屋感を演出しました。とはいえ、駅そば店なので「天せいろ1500円」みたいな専門店的なメニューはなし。食券にセルフサービスですし、ファーストフードという形態からは外れていません。
――あくまでも駅そばであると?
はい。味については、「そばいち」では、かつお節の風味とさば節の旨みをミックスし、「きらく」より出汁をより利かせるようにしていますが、食べ比べないとわからないレベルです。もう少し差をつけないといけないのかもしれません。
――従来型の茹でそば系の店舗と、味は異なるのでしょうか?
実は、茹でそば系店舗の麺は、「そばいち」「きらく」ともほぼ一緒。前日などにあらかじめ工場で茹でて冷蔵して持ってくるか、店で調理した茹でたてを提供するか、その差だけなのですが、味に差が出るのです。
ただし、駅そばファンの中には、茹でそばのボソボソした食感を好む方もいます。そのほうが駅そばっぽいのでしょう。つゆについても、「きらく」「そばいち」は洗練され、薄くて透き通った色で甘めにし、旨みを追求しているのですが、それよりも真っ黒で味が濃く、昔ながらの駅そばの味を好まれる方もいます。
【了】
Writer: 古橋龍一(美和企画)
1979年生まれ、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業。編集プロダクション「美和企画」の編集者として、旅行や歴史、日本刀などの雑誌、ムック、学習教材を手がけている。
きらくって、生蕎麦なんですね。
びっくり!
西日本住民なので全然知らないけど「味災」こと「あじさい」ってどこ行ったん?