「ホームの駅そば店」の風情はリニア時代も変わらない? 品川駅「常盤軒」に聞く裏側

品川駅ホームで半世紀以上にわたり営業する駅そば店「常盤軒」は、いわゆる独立系の老舗。鉄道の変化を間近で見ながら、「ホームのそば店」として守り続けてきたこだわりを、“中の人”に聞きました。

名物「品川丼」のルーツは意外にも…

「そばは関東、うどんは関西」といわれる通り、駅そばのそば・うどんのオーダー比率は、関東圏ではそばが圧倒的とされています。

「当店でも9対1で、そばがほとんど。これは、昔から変わりません。売り上げは天候に左右されやすく、雨が急に降ると、売り上げが増えます。駅から出たくないという心理が働くのでしょう。基本的には、“寒い=売上増”で、“暑い=売上減”。夏場はエアコンが効いたところで食べたい、冬場は暖を取るために駅そばを、という心理がうかがえます」(小塚さん)

 常盤軒のそばは、つゆは黒みが強い関東風で、甘みもほんのり。かき揚げなどの揚げ物との相性が抜群です。

「かえしで使うしょうゆは、独自発注した自社ブランドです。だしは、先代の社長が静岡で見つけてきたかつお節屋のものを使っています。これは、40年以上変わっていない店のこだわりです」(小塚さん)

 そば以外のメニューでも、目を引くものがあります。常盤軒オリジナルの「品川丼」は、イカゲソや桜エビなどの海鮮が入ったかき揚げを、ごはんにのせた一品。ごはんにシャコを混ぜて炊き上げた「品川めし」という、品川の郷土料理にちなむもので、つゆがかき揚げに染み、かすかな海鮮風味とともに旨みが広がります。

「品川丼は30年以上前から提供しているのですが、近年メディアでよく取り上げられるようになったことで、人気ですね。ごはんものでは、品川丼とカレーの売り上げがダントツです。実はカレーも、弊社独自のレシピでメーカーに発注した自社ブランドなんです」(小塚さん)

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スタッフはベテラン揃い。慌ただしい駅で素早くそばを提供する(古橋龍一撮影)。

 駅弁の製造・販売でスタートした常盤軒ですが、現在は駅弁事業から撤退しました。一方、改札内コンコースの「エキュート品川サウス」で、10年ほど前から「かき揚げ蕎麦 吉利庵(きちりあん)」というそば店を営業。この店も、駅そばファンから人気があります。

「基本は、『新しいことは吉利庵でチャレンジ、ホームの店舗は何も変えない』。変える・変えないについては常に迷いますが、ホームの店は味もメニューも頑なに変えず、伝統を守るというスタンスもアリかなと思っています。新型コロナウイルスの影響で、売り上げが半分に落ち込みました。苦しい状況でも、常連のお客さまが絶えず来てくれるので、それを支えに店を続けていきたいですね」(小塚さん)

【了】

【写真】常盤軒の不動の名物「品川丼」とは?

Writer:

1979年生まれ、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業。編集プロダクションで旅行や歴史、日本刀などの雑誌、ムック、学習教材を手がけ、フリーに。

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コメント

2件のコメント

  1. しかし常盤軒の店主は愛想がまったくない。「いらしゃい」も「ありがとう」の言葉もない。愛想がないと蕎麦も美味しくは感じない。

  2. 常盤軒といえば先代か先々代社長の小松士寿子氏が三島由紀夫の夫人の叔母という関係に当たるんですよね。ちなみに大関株式会社代表取締役社長の長部訓子氏の祖母の母は小松帯刀の孫に当たる方だったとか。

    ※ところでWikipediaの「常盤軒」の情報が古すぎて……(常盤軒の仕出し弁当部門を譲渡するで話が終わってるけど、その譲渡先の会社、今年7月で事業終了しとるぞ……)、

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