【懐かしの私鉄写真】近鉄に合併から半年後、三重交通色も残っていた北勢線
三重県の西桑名駅と阿下喜駅を結ぶ三岐鉄道北勢線。北勢線は北勢鉄道~北勢電気鉄道~三重交通~三重電気鉄道と変わり、1965年4月1日から2003年3月31日までは近鉄が運営していました。近鉄となってから半年後、北勢線を訪問しています。
この記事の目次
・垂直カルダン方式のモ4400形に興味を惹かれる
・阿下喜から西桑名へは最後部に乗車
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垂直カルダン方式のモ4400形に興味を惹かれる
私がナローゲージの鉄道に興味を持つきっかけとなったのは、三重交通が1959(昭和34)年に新製したモ4400形という3車体の連接車でした。
一般的にナローゲージといえば非電化で、小さな蒸機やディーゼルカーが付随車を牽引するというイメージですが、鉄道は電化しているものという環境に育った私は、ナローゲージの電車で、しかも垂直カルダンという珍しい駆動方式であることに興味を惹かれたのです。
モ4400形は当時のドル箱路線だった湯の山線(四日市~湯の山)で使用されますが、同線が近鉄への合併を前提として1964(昭和39)年3月に標準軌化されたため、北勢線(西桑名~阿下喜)に転用されます。この1カ月前に三重交通の鉄道部門が分社化されて三重電気鉄道(以下、三重電鉄)となり、1965(昭和40)年4月、近鉄に合併されます。
私が最初に北勢線を訪れたのはその年の10月で、車両は1/3くらいが近鉄のマルーンに塗替えられ、グリーンとクリーム色の三重交色との混色編成が見られました。
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Writer: 楠居利彦(鉄道ライター)
1946年、東京生まれ。中央線の沿線で育ったので、鉄道は複線で電化され、長編成の電車が頻繁に走るものと認識している。鉄道誌の創刊に関わり、車両データ本の編集を担当した。趣味は鉄道模型製作。