イギリス軍と紅茶の話 必須装備に専用茶葉…淹れ方ひとつで国際的騒動にも
イギリス人にとって紅茶は、無くてはならないもののひとつですが、それは軍においても同様です。そのための装備をはじめ、軍専用の茶葉や、軍を巻き込んだ紅茶の淹れ方をめぐる国際的騒動など、イギリス軍と紅茶にまつわるお話です。
イギリス海軍の最新鋭空母で発生した緊急事態
2021年5月に母港であるイギリスのポーツマス港を出港した、イギリス海軍の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」は、大西洋や地中海、中東やインド洋での活動を経て、8月に西太平洋へと展開し、海上自衛隊や各国海軍と共同訓練を活発に実施していました。しかし、実はこの太平洋への展開中に、その艦内ではある緊急事態が発生していたのです。それが、紅茶不足です。
そして、この危機を救ったのが、10月2日から3日にかけて日本近海で実施された6か国による共同演習に、「クイーン・エリザベス」と共に参加していたカナダ海軍のフリゲート「ウィニペグ」でした。
カナダの公共放送であるCBCが報じたところによると、クイーン・エリザベス打撃群の司令官であるスティーブ・ムーアハウス准将は「ウィニペグ」を訪問した際に、おもてなしとして紅茶とスコーンが供されました。そこで、ムーアハウス准将が「ちょうど『クイーン・エリザベス』では紅茶不足なので助かった」と謝意を伝えると、「ウィニペグ」に備蓄されていたアールグレイのティーバッグおよそ1000個分が「クイーン・エリザベス」に提供されたとのことです。
そうなんですね、そのボストン茶会事件以来USAでは紅茶に好印象はないのでは。翻って英連邦の一員であるシンガポールのマクドナルドのメニューに早くから紅茶があったのを思い出します。こうなったら乗りもの要素ゼロ。
WWIIのころ南洋で日本兵が補給もなく飢えに斃れていたとき、対する米軍の交代要員は後方で休憩中に温かいステーキを食べていたとか。あの時代の日本人には牛肉など口にしたことすらなかった者が多かったことでしょう。
最後の「紅茶の正しい淹れ方」イギリスらしい皮肉がこもってて好き