イギリス軍と紅茶の話 必須装備に専用茶葉…淹れ方ひとつで国際的騒動にも
戦車には電気ケトル常備 イギリス軍と切っても切れない紅茶文化
「紅茶ひとつで何もそこまで」という声も聞こえそうですが、イギリス人にとって紅茶は日常生活において欠かすことのできない重要な存在です。
イギリスにおける紅茶文化は、17世紀にポルトガルからイングランドのチャールズ2世に嫁いだキャサリン王妃が持ち込んだことによって始まりました。当時、紅茶は大変な貴重品でしたが、徐々に貴族などのあいだにも広まっていき、それが時代を経て一般家庭へと普及することによって、イギリスでは紅茶を飲むという文化が定着していったのです。
先ほどの「クイーン・エリザベス」における事例からも分かるとおり、この紅茶文化はイギリス軍においてもすっかり定着しています。たとえば、イギリス陸軍の戦車や装甲車には、紅茶を飲む際に欠かせないお湯を作るための電気ケトルが標準装備されています。これは、第2次世界大戦中にイギリス軍の戦車乗員が休憩のために車外へ出て紅茶などを準備していた際に、そうした無防備な状態で敵軍による攻撃を受けてしまう事例が多かったことなどを受けて考案されたもので、車内でも安全かつ迅速に紅茶を淹れたり、あるいは温かい食事をとったりすることができます。
この電気ケトルが初めて搭載されたのは、1945(昭和20)年に開発された「センチュリオン」戦車で、以降さまざまな改修を受けつつ、その後の歴代イギリス陸軍の主力戦車に搭載され続けてきました。そして、現在のイギリス陸軍の主力戦車である「チャレンジャー2」にも電気ケトルは搭載されています。
さらに、イギリス軍では「軍専用の紅茶」も用意されています。2010(平成22)年にアフガニスタンやイラクで負傷したイギリスの傷痍軍人へのチャリティーの一環として一度だけ市販されましたが、それ以外では一般の市場には出回らない幻の紅茶です。当時、その製造を担当していたのはイギリスの老舗紅茶メーカー、リントンズで、「ティーブレンダーによると、弊社の『トラディショナル』『カッパス』という商品が、これに極めて近い味とのことです」(リントンズ・ジャパン)といいます。
そうなんですね、そのボストン茶会事件以来USAでは紅茶に好印象はないのでは。翻って英連邦の一員であるシンガポールのマクドナルドのメニューに早くから紅茶があったのを思い出します。こうなったら乗りもの要素ゼロ。
WWIIのころ南洋で日本兵が補給もなく飢えに斃れていたとき、対する米軍の交代要員は後方で休憩中に温かいステーキを食べていたとか。あの時代の日本人には牛肉など口にしたことすらなかった者が多かったことでしょう。
最後の「紅茶の正しい淹れ方」イギリスらしい皮肉がこもってて好き