プロペラがお尻にある「推進式」戦闘機、何がメリット? WW2では開発合戦 名残はいまも

プロペラ機において、プロペラは機首または主翼の前部に付けるもの、という常識を覆し、プロペラを機体の後部に付けた「推進式」の航空機は、第2次世界大戦で異彩を放つ存在でした。その名残は今の戦闘機にも引き継がれています。

局地戦闘機「閃電」と「震電」

 日本では旧海軍が新型戦闘機の開発計画で、推進式として前述した「震電」のほかに双胴式の「閃電」を計画しました。しかし、技術的な問題と軍需物資の欠乏から、「閃電」は早々に開発中止の決定が下り、「震電」の開発のみが実際に進められました。

 日本本土防空の決定打として期待された「震電」でしたが、空襲で工場が被害を受けるなどして製造が遅れ、試作機がテスト飛行を行ったのは終戦直前の1945(昭和20)年8月3日でした。ちなみに、「震電」は実用化に成功していたら、ジェット・エンジンに換装する計画があったといわれます。

実用化したサーブ21

 そんな推進式の軍用機を実用化した国のひとつが、スウェーデンです。同国は現在でも独自の軍用機を開発している数少ない国で、その製造を担うため1937(昭和12)年に創設したサーブ社は、第2次世界大戦中に偵察爆撃機サーブ17や双発爆撃機サーブ18を開発したのち、双胴推進式の戦闘攻撃機サーブ21を生み出しています。

 推進式のサーブ21にはイギリスで開発された射出座席が装備されていました。牽引式では操縦席から緊急脱出したパイロットが尾翼にぶつかる可能性があるのですが、推進式はプロペラに巻き込まれる恐れがあり、さらに危険性が高くなります。そこで、座席ごと上方に打ち出す射出座席を採用したわけです。

 中立国だったスウェーデンは戦争に巻き込まれず、1945(昭和20)年12月に実用機のサーブJ21Aが空軍に納入され、1956(昭和31)年にはジェット・エンジンを搭載した改良型J21Rが実用化されています。

 大戦後はジェット機の時代になり、推進式のレシプロ機は民間航空機の一部として残るに留まりました。しかし、サーブ39グリペンや中国のJ-20といった現代の戦闘機にも、推進式の戦闘機で多く見られたカナード翼がついているものがあります。推進式の副産物は、こんなところで現代に引き継がれているのです。

【了】

※一部修正しました(12月2日16時10分)。

【胴体、短っ!】各国がチャレンジした「推進式」プロペラ機を写真で見る

Writer:

軍事雑誌や書籍の編集。日本海軍、欧米海軍の艦艇や軍用機、戦史の記事を執筆するとともに、ニュートン・ミリタリーシリーズで、アメリカ空軍戦闘機。F-22ラプター、F-35ライトニングⅡの翻訳本がある。

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コメント

5件のコメント

  1. >>操縦席のすぐ後ろにエンジンがある推進式は機体をコンパクトにまとめることが可能であり

    この部分ですぐにP-39「エアラコブラ」を思い浮かべました。

  2. >> しかし、サーブ39グリペンや中国のJ-20など現代の

    >> 戦闘機には、かつての「震電」と同様のものです。

    ???

    〜現代の戦闘機には「カナード翼を持つ機種もあり、これは」かつての震電と同様の〜

    とかかしら?

    • ご指摘ありがとうございます。記事を修正しました。

  3. この時期のプッシャー戦闘機は他に米のエアラクーダ、仏のナルヴァル、蘭のSchelde S.21辺りが思いつきます

    またDo.212のような推進式の飛行艇は無数にあります

  4. リーブ21

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