緊急着陸のF-16 燃料タンク投下のワケ 海上では高価なミサイルを投棄するケースも

なぜ燃料タンクを投下?

 しかし、そもそもなぜF-16はわざわざ燃料タンクを投下する必要があったのでしょうか。

 結論からいえば、それは緊急着陸に際してのリスクを極力減らし、安全に着陸するためです。たとえば、燃料タンクやミサイルなどを搭載したまま緊急着陸を行えば、万が一、着陸に失敗したり、あるいは不測の事態が発生したりした場合に、これらに引火して爆発または炎上する危険性があります。

 そうなれば、機体やそのパイロットのみならず、空港設備や駐機中の航空機などに大きな被害が及ぶ可能性も否定できません。また、燃料タンクや兵装類はそれ自体、かなりの重さがあるため、着陸時の機体重量が重いと速度が落ちにくかったり、あるいは機体の状態によっては飛行が困難になったりしてしまいます。そこで、爆発や炎上のリスク回避や、機体重量の軽減化によって、より安全に着陸することを目的として、今回F-16のパイロットはマニュアルに従って燃料タンクを投下したというわけです。

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アメリカ海軍の空母「ニミッツ」に着艦するF/A-18E「スーパーホーネット」。ブリングバック能力に優れる(画像:アメリカ海軍)。

緊急着陸だけではない 空母の着艦前に兵装を投棄する理由

 実は、今回のように緊急着陸を行う場合のみならず、戦闘機が兵装や燃料を投棄しなければならないケースが見られます。それが、空母への着艦です。

 そもそも、航空機には着陸(着艦)時の重量に制限があり、これを「最大着陸重量」といいます。この最大着陸重量を上回る兵装や燃料を搭載している場合、それを海上に投棄しなければ空母への着艦ができないわけです。もっとも、平時に着艦時のことを考えず発艦ないし離陸することはないでしょうから、このように兵装を投棄することは、それはそれで緊急の措置という見方もできるかもしれません。

 しかし、無誘導爆弾やロケット弾しか搭載していない時代であればいざ知らず、現代の兵器は精密誘導爆弾やミサイルなど、1発あたりの値段が非常に高価なものばかりです。したがって、この最大着陸重量が多ければ多いほど、その戦闘機は兵装や燃料を無駄なく持ち帰ること(これを「ブリングバック」といいます)ができる優れものということがいえるわけです。

【写真】F-16戦闘機が緊急着陸した青森空港

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コメント

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1件のコメント

  1. 今回の記事は残念
    まるで結論が出ているとでも言うような見出しに騙されたと感じる