山手線・京浜東北線に次世代列車制御「ATACS」導入へ ATOによる自動運転も

約150年前の技術が次世代の技術に置き換わっていきます。

無線通信で他の列車との間隔を検知

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山手線のE235系電車(画像:kawamuralucy/123RF)。

 JR東日本は2021年12月7日(火)、山手線と京浜東北線の一部区間について、列車を制御する新たなシステムである「ATACS(無線式列車制御システム)」を導入することを発表しました。導入めどは2028年~2031年頃としています。

 これまで列車の制御は、線路を一定区間で区切った「閉塞」を設定し、1閉塞に1列車しか入れないようにする方法でした。なおかつ、列車の現在位置は、レールに電流を流し、車両通過による電圧等の変化によって検知する「軌道回路」方式を用いていました。

 これらに代わるATACSは、あらかじめ決められた閉塞に束縛されることなく、前方の列車との位置関係により速度を制御します。そしてその位置関係は、沿線の地上設備との間の無線通信により把握されることとなります。

 ATACSの導入により、信頼性が向上するほか、地上設備をはじめ機器がスリム化し、メンテナンスコストを削減することができます。

 JR東日本は最初のATACSを2011(平成23)年、宮城県を走る仙石線に導入。その後、埼京線や小海線にも導入しています。

 ATACSの導入とあわせて、信号機や速度制限などの情報を受け実際に列車の自動制御を担当する「ATO(自動列車運転装置)」も、前後の列車間隔を考慮した速度調整などが可能となるよう、高性能化が図られます。ATOは地下鉄を中心に導入が進んでいますが、JR東日本ではことし3月に常磐線各駅停車で初導入。今後、2025年から2030年にかけて、山手線と京浜東北線にもATOが順次導入されます。

【了】

【「閉塞」よさらば 新たな列車制御「ATACS」の仕組み】

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コメント

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3件のコメント

  1. さすがに150年前の日本に軌道回路はなかったと思いますが

  2. 150年前の技術というよりは思想でしょう。

  3. ボルスタレス化革命に続いて数年後には台車のデザイナーたち4輪独立懸架による再軽量化を目指すのことになるのかな。
    軌道短絡に頼らなくても正常に動く信号システムが普及したら「車軸」って要らない子になるよね。