日本外交の勝利? ロンドン軍縮条約での巡洋艦保有量 計算したらアメリカ上回った!

1930年に発効したロンドン海軍軍縮条約は、各種巡洋艦を始めとした補助艦艇の保有量にも制限を設けるものでした。日本は批はしたものの、したたかさを見せて制限以上に持ちました。その数はアメリカ以上だったようです。

実は重巡保有率でアメリカを上回っていた!?

 ロンドン条約の交渉時、日本は対アメリカ6割の重巡洋艦保有枠では、国防が成立しないと主張しましたが、見方を変えると実は要求した7割をすでに保有していました。

 ロンドン条約で認められた日本の重巡洋艦12隻は、公称で合計10万7800トンでしたが、公称に過ぎず、実際には完成当時で計12万1820トンもあったからです。

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ブルックリン級軽巡洋艦の1番艦「ブルックリン」(画像:アメリカ海軍)。(画像:アメリカ海軍)。

 アメリカの重巡洋艦18隻は合計17万5987トン(アメリカの重巡枠は18隻18万トンですが、1万トン以下の艦型も1万トンと称していました)だったため、計算すると日本は対アメリカで69%もの重巡を持っていたことになります。しかも、日本の重巡はその後の大改装で排水量が増えたので、70%以上は確実です。

 さらに、太平洋戦争までに当初、軽巡洋艦として計画された最上型および利根型も、重巡洋艦へと改修したので、開戦時の旧日本海軍の重巡はトータル18隻、合計での排水量は18万9082トン(大改装抜き)もあり、対アメリカでは107%と、むしろ上回っていたほどでした。アメリカ海軍の保有排水量に、最上型および利根型の対抗艦であるブルックリン級軽巡洋艦9隻を上増ししても、対米で71%も保有していた計算になります。

 こうして実態を鑑みると、日本外交がしたたかに立ち回ったといえるのではないでしょうか。とはいえ、そう感じつつも「7割を裏技で実現しても、敗戦を避けられなかった」事実に悲しみを感じてなりません。

【了】

【立派な艦容】重巡洋艦「青葉」「高雄」「利根」ほか

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

2件のコメント

  1. >>日本海軍と世論(当時の新聞は軒並み7割死守論を展開)は「重巡6割では国防が成立しない」と強い不満を抱きました。

    当時も今も元凶はマスコミだというのがよくわかるよね。

    ここでマスコミが煽って海軍の青年将校が禍根を抱くようになり、これが5.15事件へと続いて行くんだよね。

    もしここでマスコミが煽らなければ、もしここでマスコミが軍縮成る、これで世界的な衝突を回避できる、と諸手で喜ぶ論調を展開したら、5.15事件はなかったかもしれないわけで、マスコミは気軽に政府批判を展開しただけと嘯くかもしれないが、どう見てもこ政情不安定にした火付け役をやってるよね。

  2. この時代、何故日本の軍部のトップは、逆転の発想が出来なかったのか?対英米7割という補助艦保有を譲れないということに、拘だわりすぎだった。当時の日本の国力や、経済力で本当に対英米7割もの海軍力を保持・運用できるだけの力が日本に無かったし、山本五十六の盟友堀悌吉の主張した通り、英米は、日本海軍の1.4倍しか保有できないという足枷を嵌られるという発想が出来ていたら、、、あるいは、歴史は変わっていたかもしれなかったのですが、、、やれ、統帥権干犯などという、イケイケどんどんだけに進んだから、その結果がどうなったか、、、現代にも大きな教訓を示していると思うのですが、、、

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