名門大洋フェリー新造船「フェリーきょうと」公開 コロナで設計変更の船内 どう変化

旅客にも物流にも欠かせない、フェリーの役割

 船内の公開に先立って記者会見が行われ、名門大洋フェリーの野口恭広社長から「旅客・物流ともにさらに力強いサービスを」と決意が語られました。

 続いて登壇した山本哲也旅客本部長からは、新型コロナウイルスによる旅客の減少、JRや航空との競争など、同社が置かれているさまざまな環境が語られました。その中でも移動と宿泊を同時に実現できる船旅の提供と、ドアツードアでそのまま自動車で移動できるという利便性をこれからも提供していくとのことです。

 旅客サービスの面では、社員同士でワーキングチームを組んで快適な船内作りの意見を出し合い、その中からハウダールームでの「女優ミラー」(リングライトなどと組み合わせ、顔にしっかり照明が当たった状態でメイクできる)導入など、さまざまなアイデアが生まれたとか。

 一方の貨物に関しては、慢性的に続くトラックドライバー不足や、2024年に待ち構える「働き方改革」のさらに厳格な適用などで、利用増が続いているそうです。今回の新造船では、トラックドライバー専用のサロン・風呂の設置やドライバーズルームの個室化などで、さらに快適に休息が取れる仕掛けが施されています。

 なお運航面では、2015(平成27)年就航の「フェリーきたきゅうしゅうII」「フェリーおおさかII」でも導入された「アジマススラスター」など、航行の補助装置の効果もあり、船体の重量やスペースが1.5倍であるにもかかわらず、燃費は5%低減する見込みなのだそう。

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大阪南港にて(宮武和多哉撮影)。

 2022年3月に就航予定の「フェリーふくおか」も、今回就航する「フェリーきょうと」と同様の仕様となっています。同社の愛称である“CITY LINE”にふさわしいデザインの2隻の新造船は、2015(平成27)年に建造された「フェリーきたきゅうしゅう」「フェリーおおさか」とともに、大阪南港~新門司港間の2往復の航路を担う予定で、12月中は第2便(大阪・新門司19時発)の運航に就く予定です。

 なお、新造船にその役目を引き継ぐ「きょうとII」は、12月27日(月)に最終運航が予定されています。

【了】

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Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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