「駆逐戦車」ってなに? 戦車のようで戦車じゃないのにほぼ戦車扱いされた絶滅危惧種!
独ソとは設計思想から異なる米の駆逐戦車とその運用
アメリカではその後もM18「ヘルキャット」、M36「ジャクソン」と駆逐戦車の投入が続きますが、搭載している砲の威力こそアップしたものの、既存のシャシーを軽量化する点や砲塔をオープントップにすることは共通でした。敵より優位な位置で戦闘を行うために身軽さを重視した設計思想で、敵の側面や背後を脅かす戦法なども多用する、独ソの駆逐戦車より機動力を活かす攻めの姿勢の車両となります。ただ、敵戦車に先に発見された場合や対歩兵戦の場合は装甲の貧弱さが仇となったため、戦場に急行し、敵攻撃後は即離脱するというヒット&アウェイ戦法を取るのが絶対条件でした。
結局、アメリカ軍の思惑とは違い、戦中から「戦車の相手は戦車がする」というのが定説になり、独ソでは早い段階から駆逐戦車をほぼ戦車と同じ扱いとしました。
戦後もしばらくは、コストパフォーマンスの良さや待ち伏せやヒット&アウェイ能力を期待されて駆逐戦車的な位置付けで設計された車両が存在し、西ドイツの「カノーネンヤークトパンツァー」や、アメリカ海兵隊のM50「オントス」自走無反動砲、陸上自衛隊の60式自走無反動砲がそれに当たります。しかし、対戦車ミサイルや歩兵が携帯できる対戦車兵器が発展していくと段々、その座を譲ることになっていき、現在ではほとんど見ることのない兵器となりました。
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Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
>結局、アメリカ軍の思惑とは違い、戦中から「戦車の相手は戦車がする」というのが
う〜む。『ガンダム・オリジン』の「戦うモビルスーツ」だな。