脱・交通事故死者数ワーストからの驚異的な改善「愛知県」 事故抑え込み成功 何が奏功?

事故の多い場所、時間帯、シチュエーションに集中対策

 2021年の7月、愛知県警察本部の後藤里志交通総務課長は愛知県が主催した交通安全対策会議でこう発言していました。

「下半期は交通死亡事故が多発する傾向にあることなどを踏まえると、けして楽観視できる状況ではなく、連続減少させるためには関係機関が緊密に連携して、諸対策をより強力に推進していかなければならない」

 2021年中の死者数を抑えられた要因は、これからの分析を待たなければなりませんが、愛知県警が「抑止の柱」に掲げたのは高齢者、歩行者、自転車、交差点の4項目でした。重点項目を提示するだけでなく、さらに深掘りして対策を講じることが、死者数減少の好循環を生む原動力でした。

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愛知県警察本部(中島みなみ撮影)。

 愛知県における高齢者の死亡事故は、横断中の事故が最も多く大半を占めています。一方、県内で9月~12月に発生した過去5年間の交通死亡事故を分析すると、午後5時から午後7時の時間帯に交通死亡事故が多発していました。県警は「夕方の5~7(ゴーナナ)は“魔の時間”」と警告すると同時に、こうした時間帯に集中して街頭活動に力を入れました。

 街頭活動には警察官だけでなく、地域の企業や自治体も参加。歩行者保護活動や横断歩行者等妨害等違反の取締りを強化して、交差点の安全を人が見守ることで、運転者の緊張や歩行者の注意を高めました。これにより2021年の愛知県内では、横断中、ならびにゴーナナ時間帯の死亡事故が減少しています。

 県警はさらにデータ分析を重視し、携帯電話事業者の人口動態データを利用して、高齢者の利用の多い施設など通行実態を把握。交通街頭活動を展開する予定です。

 なお、記事中の2021年の数値は暫定値です。今後の確定値で修正されることがあります。

【了】

【脱ワーストからの劇的改善!】愛知の交通事故状況ビフォーアフター画像で見る

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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コメント

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2件のコメント

  1. 見張りと街頭での啓発活動以外これといったことをしなくても目標を達成したということですね。

    私はどちらかといえば電気自動車推進論者ですが、今までは無意識に騒音でも車の接近を認識していたので、いくら音響発生の装置があっても歩行者としてEVに気づくのに馴れるまで時間を要するかもしれません。

    • なんか、行政の無策を匂わせてきますが、その「これ」が分かれば、全国各地でやってますわ。事故防止なんて所詮、地道な対策を続けていくしかないんだから。
      結果オーライでも事故死者が減れば良い。