八高線も走った元りんかい線の電車 209系3100番台の生い立ちと70-000形の歴史を振り返る
2021年度中に八高線・川越線用の209系3100番台が引退することが発表されました。209系3100番台は、りんかい線で走っていた車両をJR東日本が譲り受けたもので、丸みのある前面デザインに特徴があります。りんかい線の時代から振り返るとともに、りんかい線などで現在も使用されている東京臨海高速鉄道70-000形の現在についても触れてみます。
この記事の目次
・209系3100番台はどんな電車?
・209系3100番台の故郷? 東京臨海高速鉄道と70-000形
・だんだん長くなる、りんかい線と70-000形
・6両を新造して6両を廃車にする
・現在の70-000形
・209系3100番台の置き換え
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209系3100番台はどんな電車?
今回引退する、209系3100番台はどんな車両なのでしょうか? 209系3100番台は、りんかい線こと東京臨海高速鉄道からの譲渡車両による構成された車両で、2004(平成16)年にJR東日本が東京臨海高速鉄道から譲り受け、新造車両を加えて翌年から八高線・川越線で使用しています。
りんかい線時代の外観は残しつつ、車体色は八高線・川越線のウグイス(黄緑)色とオレンジ色のラインの組み合わせに変更。特に前面は白を基調とした色としたため、りんかい線時代とは印象が変わっています。
ちなみに、ウグイス色とオレンジ色のラインは、埼京線や川越線で使用されていた車両の色だったウグイス色に、中央線のオレンジ色を組み合わせたものです。八高線八王子~高麗川間の電化によって、八高線・川越線の八王子~川越間が一体的な運行となったことに因んだ車体色となっているのです。このほか、八高線・川越線の仕様で半自動ボタンが追加され、停車中は乗客がドアを開閉することで、車内温度を保つようにしています。
内装は、りんかい線時代を継承しつつ、優先席はJR東日本の仕様に合わせて赤や灰色を組合わせたものに改めました。
209系3100番台は4両編成2本だけの希少な車両ですが、りんかい線から譲渡されたのは先頭車4両と中間車2両の計6両だったので、不足する中間車2両は新造しています。この中間車2両は、りんかい線からの譲渡車に外観や内装の基本仕様を合わせていますが、よく見ると内装に違いがあります。最も分かりやすいのは座席端部の仕切りの形で、新造車両ではJR東日本の車両で一般的な大形の袖仕切が使用されています。
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Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
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