軽自動車の飛行機版「LSA」で快挙 最年少19歳女性の世界一周飛行 日本に来なかったワケ

日本未認可のLSA 毎年1500機ペースで増加中

 ザラは、世界一周飛行の途中で天候の回復や渡航手続きのために足止めを食うことはあったようですが、機体の不都合は報告されていません。つまり、今回の世界一周飛行はLSAの信頼性と安全性を証明した記録だともいえるのです。

 LSAの特徴は最新の空力設計による飛行性能だけではありません。コックピットには小型ながら高機能な画面表示式の計器を備え、正確な航法も可能な性能を有しています。事実、ザラの飛行経路の中には4~5時間にもおよぶ洋上飛行が幾度となく含まれていましたが、問題なくこなしています。これもシステムの高い信頼性と操作性の裏付けだといえるでしょう。

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サウジアラビアに到着した際のザラ・ラザフォード(画像:在サウジアラビア・ベルギー大使館)。

 ザラは各国で歓迎を受け、サウジアラビアでは王族や著名なパイロットとの交歓もあったようです。極東地域において日本を経由しなかったことは残念でしたが、これは日本でLSAが航空機として認められていないことも関係しているようです。もし、日本が欧米などと同じ基準でLSAの飛行を認めていたら、ザラは日本にも立ち寄ったのではないでしょうか。

 全世界ではLSAが毎年およそ1500機のペースで増え続けています。優れた飛行性能とともに、信頼性と安全性が証明されたLSAを、日本でも早期に制度化することが望まれます。

【了】

【写真】各国で歓待されるザラ&シャーク・アエロ

Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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コメント

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4件のコメント

  1. 1937年にアメリア・イアハート女史がロッキードの双発機で太平洋を飛行中に消息を絶った。成功していれば女性初の世界一周飛行となるはずだった(単独ではない)。なお当時の情勢からか日本の領地に着陸することはなかった。

    • 第二次世界大戦前だし、それはない。

    • シールをコクピットカバーにペタペタ貼ってるのは、視界を妨げる要因になっていて見ていて気分の良いものではないな
      貼るなら胴体に貼ればいいのに

  2. 小型軽量で個人が持てる飛行機というのは夢があるね。