名物ドライブイン消滅「名阪国道」の今 Ωカーブの“やばい道”で生まれた文化とは

「名阪国道 やばい」←どんだけヤバイのか

 名阪国道は、全国の高速道路・自動車専用道の中でも群を抜く死亡事故率の高さで知られます。インターネットのサーチエンジンで「名阪国道」と検索すると、サジェスト(関連キーワード)にかなりの確率で「やばい」と表示されるほど。そこには、“ほぼ高速道路”とは思えない線形と、自然条件の厳しさがあります。

 まず、線形でもっとも「やばい」ポイントが、天理東IC~福住IC間の巨大なΩ字型カーブです。直線で進めば5kmほどの区間ですが、Ω”を描くように、ほぼ倍の距離を回り込んで400mもの高低差を克服しているのです。最小半径150mのカーブが連続するため「急カーブ注意」の看板が何枚も立っているほか、勾配も自動車専用道路の最大値に近い6%に及ぶため、1台のスリップが数台を巻き込む事故もしばしば発生しています。

 そして奈良・三重県境の山岳地帯は天気が急変しやすいことでも知られ、片側で晴れていても片側で曇り、積乱雲が溜まった山あいはゲリラ豪雨、という事態もよく起こります。

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ツアー拠点でもあった名阪上野ドライブイン。「ドライブインお別れツアー」も組まれている(宮武和多哉撮影)。

 筆者(宮武和多哉:旅行・乗り物ライター)も業務の関係で、鉄管などの“長モノ”や建築資材を軽トラック・ワゴン車に積んで名阪国道を走る機会がよくありましたが、Ωカーブのはるか向こうに濃い雨雲が見え、すぐに前が見えないほどの土砂降り+道路を覆うような雨水が坂の上から流れ落ちてきた時の恐怖感は、忘れがたいものがあります。濃霧に見舞われ、辛うじてドライブインに駆け込んだことも一度や二度ではなく、冬場には路面凍結の可能性に対し、天気予報・交通情報を疑ってかかる慎重さが必要です。

 沿道のドライブインやPAなどは、このように精神的なストレスを強いられるドライバーの「駆け込み寺」的な役割も果たしてきました。しかし、上り線は2012(平成24)年に五月橋SAが閉鎖され、さらに今回、名阪上野ドライブインが閉鎖されることで、針IC前の「針テラス(道の駅針T・R・S)」と伊賀IC前の「道の駅いが」まで約40kmのあいだ、大きな休憩施設がなくなります。名阪国道のちょうど中間に位置する名阪上野ドライブインの敷地も、休憩地点として活用されてほしいものです。

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コメント

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1件のコメント

  1. Ωカーブは本当に事故が多いです。雨が降れば高確率で事故が起こり渋滞が発生します。
    またΩカーブは曲率半径が小さく、しかもブラインドカーブ。目の前で起きている事故や渋滞に気づかない、見えない。当然2次的な追突事故もおこります。飛ばして走る乗用車がスピンして中央分離帯のコンクリート壁に激突するのを何度も見ました。

    事故に絡みたく無ければ60km/hで走行するのをオススメします。ブラインドカーブの先に事故車、渋滞が有るとホントに止まれません。特に下り坂。