名物ドライブイン消滅「名阪国道」の今 Ωカーブの“やばい道”で生まれた文化とは

衰退?名阪国道、沿道の賑わいは健在!

 名阪国道は三重県四日市、津などの工場地帯と大阪を最短距離で結び、東海圏・近畿圏の双方へ商品の出荷が可能とあって、道路の開通後は伊賀周辺に次々と工場が進出しました。いまや三重県伊賀市には「LIXIL」「パナソニック」「プリマハム」「常盤薬品」などの大手工場が林立し、これらの工場に1万人以上が雇用されているとも言われています。

 一方、2008(平成20)に新名神高速(亀山JCTー草津田上JCT)が開通し、その後も三重や大阪で整備が進むにつれ、名阪国道の交通量は減少しています。新名神は有料ですが、いわゆる“働き方改革“によりトラックドライバーの拘束時間が制限され、通行料を負担する荷主も増加しました。また現在、滋賀県や三重県の自治体が、名神・新名神・名阪国道を連絡する「名神名阪連絡道路」建設に向けた動きに力を入れており、抜本的な対策が難しい名阪国道の存在価値は相対的に薄まりつつあります。

 名阪上野ドライブインも、テナント入居していたマクドナルドや回転寿司店が撤退を余儀なくされ、2012年には施設をリニューアルするなどの対抗策を取ってきましたが、交通量の減少、移動ルートとしての名阪国道の衰退を避けることはできず、そこへコロナが追い打ちをかけた形になりました。

Large 220311 meihan 03
名阪国道は大型車の多さで知られる(画像:北勢国道事務所)。

 そうはいっても、名阪国道沿いの「針テラス」「名阪関ドライブイン」「伊賀上野ドライブイン」などは、周囲に商業施設が少ないこともあって、相変わらず賑わいを見せています。ほとんどの店が廃墟となった伊賀上野PAの隣で、ひっそりと営業を続けるどて焼き「味のお福」にできる行列も、昔と変わりありません。

 名阪上野ドライブインに入居していた店舗の中でも「おすみ」「太陽」は移転が決定しており、今後とも営業を続けるそうです。ほかのICの前にも、昔ながらの飲食店が数多く営業しています。全線で通行料が無料なので、こまめに降りて食べ歩くのも良いでしょう。ただし、ドライバーのあいだで熱烈に支持されるこれらのお店は、高確率でご飯の“盛り“が目を剥くような量ですから、食べに行くならガソリン・タイヤとともに胃袋のチェックも忘れずに。

【了】

【ごはん多っ!】名阪国道と「ドライブインめし」 写真で見る

テーマ特集「「高速乗り放題」どこで使える? 全国無料高速ほか、明日使えるおトクな情報!」へ

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

1件のコメント

  1. Ωカーブは本当に事故が多いです。雨が降れば高確率で事故が起こり渋滞が発生します。
    またΩカーブは曲率半径が小さく、しかもブラインドカーブ。目の前で起きている事故や渋滞に気づかない、見えない。当然2次的な追突事故もおこります。飛ばして走る乗用車がスピンして中央分離帯のコンクリート壁に激突するのを何度も見ました。

    事故に絡みたく無ければ60km/hで走行するのをオススメします。ブラインドカーブの先に事故車、渋滞が有るとホントに止まれません。特に下り坂。