東武の四角い特急「350型」 急行用から改造された大ベテラン 通勤用への改造も

東武鉄道の特急「きりふり」が運転を終了したのに伴い、350型電車の定期運行が終了しました。この350型電車は急行「りょうもう」で使われた1800系電車を改造したものですが、1800系は特急用に改造されただけではありませんでした。

6両編成の300型と一緒に登場

 東武鉄道の2022年3月ダイヤ改正で、土休日に日光線を中心として運行(運用としては春日部→浅草→東武日光→浅草→新栃木)していた特急「きりふり」が廃止。12日(土)のダイヤ改正に先立ち、6日(日)を最後に運行を終了しています。

 特急「きりふり」に使われていたのは350型電車。急行「りょうもう」用だった1800系電車を改造したものです。

 1800系は、1969(昭和44)年から1987(昭和62)年にかけて製造されましたが、「りょうもう」後継車両の200型電車と250型電車が登場し、1998(平成10)年3月31日限りで定期運用から引退して余剰となりました。

 その余剰となった1800系の一部を1991(平成3)年に改造し、同年7月21日のダイヤ改正から日光線系統の急行「きりふり」、鬼怒川線系統の急行「ゆのさと」、野岩鉄道・会津鉄道直通の急行「南会津」、宇都宮線系統のビジネスライナー急行「しもつけ」(のちに急行「しもつけ」に変更)で使用するために登場したのが300型と350型です。300型は6両編成、350型は4両編成という違いがあり、300型は2本、350型は3本が登場しました。

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4両編成の350型電車を使用した特急「きりふり」(2009年10月、恵 知仁撮影)。

 急行「南会津」は2005(平成17)年3月のダイヤ改正で廃止となったものの、2006(平成18)年3月のダイヤ改正で急行「きりふり」「ゆのさと」「しもつけ」は特急に格上げとなり、300型と350型は100系「スペーシア」などとともに特急用車両の仲間入りを果たしました。

 しかし、2006(平成18)年3月改正では特急「ゆのさと」が定期列車から臨時列車となり運転本数は減少。2017(平成29)年1月を最後に運転されていません。特急「しもつけ」も2020年6月のダイヤ改正で廃止となり、特急「きりふり」だけが残っていたのです。

 なお300型は2001(平成13)年から2017(平成29)年3月まで、350型は同年7月から2018年3月まで、浅草発会津高原尾瀬口行きの臨時夜行列車「スノーパル」「尾瀬夜行」に使用されたほか、浅草発東武日光行きの「日光山岳夜行」「日光夜行」にも使用されています。

 300型は2017年度にすべて廃車、350型も1本が2021年に廃車となり、残るは2本。今回の定期運行終了で今後の去就が鉄道愛好家の注目となっていましたが、3月21日(月・祝)には「東武鉄道・日比谷線直通60周年記念ツアー」の団体臨時列車に使われます。しかし、四角いフォルムの急行由来の車両が東武からなくなる日はそう遠くないことかもしれません。

 ちなみに1800系の一部は、2001年に通勤車にも改造されています。これは佐野線や小泉線で使用していた旧型車両を取り替えるために行われたもので、改造に際して車内は一部の座席を除いて向かい合わせの固定とし、トイレなどを撤去しました。車体前面にはLED式の行先表示器を設置し、塗装はほかの通勤車と同じホワイトに濃淡ブルーの帯に。

 ただし、ドアの増設は行われず片側1扉(1両のみ2扉)なので乗り降りに時間がかかっていました。佐野線・小泉線のワンマン運転化により2007(平成19)年に廃車となっています。使用期間はわずか6年でした。

【了】

【写真】懐かしの300型と1800系 通勤用改造車も

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