不可解なるロシア空軍 なぜ誘導爆弾を使用しないのか あるいは使用できない理由とは?

なぜ誘導爆弾を使わないことが不可解といえるのか

 場合によって異なるものの、CEPを60mとし30m程度の大きさの標的に直撃させた場合に撃破と判定するならば、無誘導爆弾を8発積んだ戦闘爆撃機4機(計32発)ならば計算上、4目標の撃破を期待できます。ただし戦闘爆撃機4機を飛ばすには護衛の制空戦闘機、地対空ミサイルを破壊する防空網制圧機、レーダーに妨害を行う電子戦機、さらに空中給油機などの支援が必要です。

 そうした、1回の爆撃任務に必要な編成を「ストライクパッケージ」や「戦爆連合」と呼ぶことがあり、最も小さなストライクパッケージでもおおむね20機程度となりますから、実際は20機も出撃させてふたつから4つ程度の目標しか破壊できないことになります。

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誘導爆弾も使用可能だが無誘導爆弾を大量に搭載したSu-25攻撃機。ウクライナではかなりの数が撃墜されている(関 賢太郎撮影)。

 一方、同じ戦闘爆撃機に同じく8発の誘導爆弾を搭載した場合はどうなるでしょうか。誘導爆弾は非常に命中精度が高く、ロシア製のKAB-500Lレーザー誘導爆弾ならばCEPは約3mですから、これはほぼ必中を期待できるといえます。したがって4機で合計32発を搭載すれば、理論上は32目標を破壊できるでしょう。

 また推進装置を持った誘導爆弾、いわゆる「空対地ミサイル」を使用すれば、敵の防空網の外から攻撃できるため、攻撃側の生存性も大幅に高めることができます。

 誘導爆弾は無誘導爆弾に比べて高価であることが欠点であり、価格は10倍の数百万円、空対地ミサイルであれば数千万円にも及びます。しかしながら無誘導爆弾で同じだけの戦果を得るには10個ストライクパッケージを出撃させなくてはならないのですから、実際のところ誘導爆弾は高価である以上に有効であることがわかります。

伝統的なフォルムのロシア製無誘導爆弾FAB-500

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コメント

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1件のコメント

  1. そっくりそのまま自衛隊に当てはまりそうですね