「新幹線公民館」がある街 珍地名「新幹線」の由来は新幹線の"祖先"?
静岡県函南町に「新幹線区」という珍しい地区名があります。なぜこのような変わった地名が存在しているのでしょうか。
人が集まると地名が生まれる
静岡県函南町に「新幹線区」という珍しい地区名があります。JR東海道線の函南駅から南西へ山を下りたところにある地区で、町内にはその名も「新幹線公民館」という名前の施設があります。
函南駅と伊豆箱根鉄道駿豆線の大場駅をむすぶ伊豆箱根バスが地区を通っていますが、そこにあるバス停も「幹線上」「幹線下」というユニークなもの。なぜこのような地名になったのでしょうか。
この地区の歴史は戦前にさかのぼります。1939(昭和14)年に新幹線の元となる「弾丸列車」計画が始動し、各地で工事が進められました。その中の一つが「新丹那トンネル」です。
総延長約8000mの大規模なトンネル工事であったことから、工事作業員が現場に仮の宿舎を建てて住み込むようになり、何も無かった場所に生活空間が生まれていきました。
戦況の悪化とともに計画が頓挫したあと、新丹那トンネルは東海道新幹線のトンネルとして1959(昭和34)年に再び工事が行われることになります。それとともに、「弾丸列車」の工事で生まれたいわば"新しい街"の呼び名として「新幹線」が与えられ、正式な地名となったのです。
現在この一帯は、住所としては上沢の一部となり、「新幹線」は地区名として残るのみですが、国土地理院の地形図には今も新幹線の文字が明記されています。
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