御殿場線に残る「東海道本線」の歴史 単線の脇で複線時代の痕跡を探す(写真13枚)
神奈川県と静岡県を結ぶ御殿場線はいまではJRのローカル線のひとつですが、かつては「日本の大動脈」東海道本線の一部でした。「大動脈」の名残や山越えに使われていた蒸気機関車の歴史を訪ねてみました。
昭和初期まで日本の大動脈だったローカル線
JR東海の御殿場線は、東海道本線の国府津駅(神奈川県小田原市)から御殿場駅(静岡県御殿場市)を経由して再び東海道本線の沼津駅(静岡県沼津市)に至る、全長60.2kmのローカル線です。都心からのアクセスが便利で、富士山をはじめ、美しい車窓風景を楽しめることで知られています。
その御殿場線が、かつて日本の大動脈である東海道本線の一部だったことをご存知でしょうか。1889(明治22)年に静岡まで開業した東海道本線は、箱根の山を避けて御殿場経由で建設されたのです。しかし、1934(昭和9)年12月に熱海~函南間の丹那トンネルが開通すると、東海道本線国府津~沼津間のルートは熱海経由に変わりました。これに伴い、御殿場を経由する区間は東海道本線から分離。御殿場線として独立したのです。
東海道本線のルートが変わったことで、御殿場線は、2~4両編成の電車が走るのどかなローカル線に変わりました。ルート変更から80年以上が経過したいまでも、沿線には東海道本線時代の面影があちこちに残っています。
御殿場線に残る東海道本線の面影を見るなら、山北駅から次の谷峨駅までの区間(4.1km)がうってつけです。この区間には、東海道本線時代のさまざまな遺構が残っているからです。おおむね線路に沿って神奈川県道76号が通っており、歩いても1時間半ほど。山北駅前にはNTTドコモが提供するサイクルシェア(レンタサイクル)があり、電動アシスト自転車を借りてたどることもできます。
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