「客車改造の気動車」どうなる? JR北海道の事業計画で気になる北海道ならではな車両の行方

JR北海道が発表した「令和4年度事業計画」では、H100形電気式気動車などの新製投入だけでなく、「2両編成のワンマン電車を導入する」とも記載されています。これにより去就が注目されるのが、北海道ならではの気動車、キハ143形です。

ワンマン電車導入は省力化・省人化を進めるため

 JR北海道は2022年4月1日に「令和4年度事業計画」を発表しました。この事業計画では、H100形電気式気動車の新製によるキハ40形気動車の置き換えや、261系特急気動車の新製投入のほか、「地方電化区間での列車運行の省力化・省人化を進めるため、2両編成のワンマン電車を導入する」とも記載されています。

 ワンマン電車の具体的な投入路線は明らかになっていませんが、北海道の地方電化区間で運行している列車といえば、キハ143形気動車を使用した普通列車があげられるでしょう。キハ143形は電化区間の室蘭本線 室蘭~苫小牧間や札幌~東室蘭間で普通列車としてワンマン運転が行われており、導入予定のワンマン電車と同じく2両編成で使われています。

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JR北海道のキハ143形気動車(画像:写真AC)。

 キハ143形は、1990(平成2)年から1995(平成7)年にかけて50系客車(オハフ51形)から改造されたキハ141系のグループ。先にキハ141形とキハ142形が登場しましたが、出力を増強したエンジンを1基搭載して1994(平成6)年から1995年にかけて登場したのがキハ143形です。1994年にはエンジンを搭載しないキサハ144形も登場しています。

 キハ141系は函館本線・札沼線(学園都市線)の札幌~北海道医療大学前間で使用されましたが、2012(平成24)年6月に札沼線の桑園~北海道医療大学前間が電化されると、運用が減少。同年10月からはすべて電車での運転となったことで、キハ141形・142形・144形は営業運転を終了し、キハ143形は2両編成5本(10両)が苗穂運転所から苫小牧運転所に転属しています。

 2022年4月時点でJR北海道に残るキハ143形は10両のみです。その10両も改造からすでに27年以上が経過。老朽化によりワンマン電車に取り替えられるものと考えられます。

 なお、キハ141系は22両がミャンマー国鉄へ、4両がJR東日本に譲渡されています。JR東日本では改造のうえ「SL銀河」用の車両として使用していますが、キハ141系の老朽化に伴い2023年春をもって「SL銀河」の運行を終了する予定です。JR北海道のキハ143形も廃車になれば、国内の営業線上から客車改造気動車が姿を消すことになります。

【了】

【画像】中期経営計画にも記載されたワンマン電車

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