宇宙でキャタピラ必要?「ガンタンク」の存在意義 ガンダム世界の“戦車”ではない?

ガンダムより高機動なガンタンク

 なお、ガンタンクのスラスター推力は8万8000kgで、これはガンダムの5万5000kgを上回ります。数字だけ見ればガンタンクの方が高機動兵器だといえるでしょう。

 推力重量比もガンダムの0.925に対して、ガンタンクは1.1で上です。推力重量比は1を超えると、推力で飛行可能です。実際、劇中では地球上で底面のスラスターを噴射して飛行し、空中のホワイトベースに帰還しています。

 つまり、母艦が飛行していても、甲板上の適切な位置にガンタンクを再配置できます。そして、甲板上の高い高度から砲撃することで、長射程を活かせると考えられます。

 もちろん、宇宙ではミノフスキー粒子の濃度が薄ければ、260km先でも砲撃できることから、艦艇に対しても、要塞に対しても有効で、長射程は無駄にはなりません。

 ガンタンクはペガサス級に最大8機を搭載する予定でした。ペガサス級は、底面の対空砲力は上面より少ないです。宇宙には上下がありませんので、複数のガンタンクを、底面を含めたペガサス級の平たい甲板に露天係止して、対空砲の死角を補い、場合によっては対艦砲撃に参加することが想定されていたのでしょう。

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木馬型軍艦に戦車型メカが多数配備されていたら……(イラスト:オウジケイスケ)。

 なお、近年のプラモデルのガンダムでは「コアファイターごと台座が回転」して、腰部回転できますから、実はガンタンクも上半身回転が可能で、相当な対空射界があったとも考えられます(劇中描写では、キャタピラによる方向転換は非常に速いですが……)。

 また、初期のガンタンクは砲手と操縦手が別れていましたが、これは砲手を対空射撃に専念させたいということなのでしょう。

 またガンタンクは劇場版ではガンキャノンと交代していますが、これは連邦軍が攻勢に転じる中で、防御兵器よりも攻撃兵器を重視したのだと考えられます。

 一年戦争以降では、ガンタンクのような戦車型兵器はほぼ見られなくなりますが、これはモビルスーツの性能が向上し、ガンタンクのような対空砲台で迎撃するよりも、同じモビルスーツで迎撃する方が効果的と考えられたからだと筆者は推察します。

【了】

【機関砲が火を放つ】「ガンタンク」の実射シーンほか

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

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5件のコメント

  1. その辺の答えはサンボル読めば大体描いてある

  2. >形式番号RX-75でもわかるように、ガンタンクは宇宙世紀0075より開発された機体です。

    自衛隊の命名規則ならそうだがこれはただの連番と思われ('ω')

  3. ガンタンクが母艦上で防衛任務?
    母艦には重力発生装置がついているの?

    正直、ガンダムの世界は物理法則を無視した
    世界で真面目に考察しても意味がない。

  4. お前のブログで書いてろ
    という感想しか湧いてこない

  5. ガンタンクが75年ロールアウトとは初耳です。
    V作戦の発動は開戦後との認識でしたが、新しい視点ですね。