レーザーでチュドーン!!現実に イスラエル「アイアンビーム」試験成功 超コスパ防空兵器

驚異のコスパ! アイアンビーム

 アイアンビームにはアイアンドームには無い、2つのメリットが存在します。

 ミサイルの製造には一定の時間がかかり、またその製造数にも限界がありますが、レーザー兵器は電力の供給さえ確保できれば、理論上、無限に照射することができます。このため2021年のような大量のロケット弾などによる攻撃が再び発生しても、ミサイルの在庫を気にしながら迎撃する事態は避けることができます。

 前に述べたように、イスラム原理主義武装勢力は迫撃砲やロケット弾、市販のドローンといった安価な手段でイスラエルを攻撃しています。敵対勢力の安価な攻撃手段を高価なミサイルで迎撃するのは割に合わないと考えたイスラエルは、既存の空対空ミサイルなどの技術を極力流用することで、タミルを安価なミサイルとすることに成功しましたが、それでも1発あたりの価格は1000万円程度すると報じられています。

 ベネット首相は自身のTwitterの公式アカウントで、アイアンビームの1照射あたりのコストが3.5ドル(約450円)であると述べています。アイアンビームが実用化されれば、イスラエルは敵対勢力の攻撃手段よりも安価な迎撃手段を手にすることになります。

 アイアンビームは今回の試験で、ロケット弾または対戦車ミサイルと見られる目標を粉々に破壊しています。アニメやSF映画のように、戦闘機やロボットなどを一撃で破壊するレーザー兵器の登場にはまだかなりの時間がかかると考えられますが、アイアンビームの実用化は、現実がまた一歩フィクションに近づいた、とも言えるかもしれません。

【了】

【レーザーでチュドーン!!の様子 アイアンビームを画像で見る】

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

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1件のコメント

  1. 敵基地攻撃なんて戯言よりこっちでいいじゃん。誰も傷つけずに済む。