ホテルに誕生「JALの部屋」どう実現? 整備士が本気で部屋作り 細部に工夫… "生みの親"に聞く裏側
実機とはちょっと違うホテルの部屋 そこで光るJAL整備士の魂
矢田貝主任はコンセプトルームの設計で特に実現に苦労したアイテムについて、客室の窓側についている「窓枠パネル」の設置を挙げています。
このパネルは、「上弦の月」のようにやや丸みを帯びた板のような形状をしています。矢田貝主任「パネルはもともと航空機の構造部分に留めておくものなので、実際の部屋に置こうと思うと自立するものではありません。これを自立させるために整備士間でアイデアを出し合い、整備用部品輸送の木箱などから支えを作るなどして、自立できるようにしました」と、その工夫を話します。
「今回の部屋は、お客様の安全性を最優先に設計しました。実はパッと見たところシートと窓枠パネルの部分については、機内と同じような再現性を確保しつつも、寸法などは強度上最適なように設計しています。何回もメンバーでシートに座って『安全性は大丈夫か?』と確認しながら製作しました」(矢田貝主任)
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整備士が体験した、“部屋”をつくるという作業。「マニュアルが全くないなか、普段と違う頭を使って考えたので、参加したメンバーは大変ながらも楽しんでいたようです」と矢田貝主任。整備技術を別のところに活かせたことが、今後の整備作業にも生きるのではないかといいます。なお現在、JALの整備士が手掛けた「ウイングルーム」は、大盛況の予約状況が続いているようです。
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Writer: 松 稔生(航空ライター)
国内航空会社を中心に取材を続け、国内・海外を奔走する日々を送る。ゆとり世代。
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