沈む軍艦は誰のもの? 露艦「モスクワ」はウクライナの「水中文化遺産」になれるのか

南の海に沈む旧日本海軍の軍艦がダイビングスポットになっているという話を耳にしますが、現状でそれらの所有権はどこにあるのでしょうか。そうした、沈んだ軍艦と「水中文化遺産」をめぐるお話です。

沈没した軍艦の扱いはどうなっているのか?

 国際法上、軍艦は民間船舶とは異なり、その所属する国家の主権を体現した存在として、旗国(艦艇に掲げられている旗の国)以外の管轄権(国家が一定の人や物に対して有する権限)に服することはありません。これを「免除」といいます。これは、どの国にも属さない公海上はもちろん、他国の領海や港においても認められ、たとえば他国の警察官が軍艦に勝手に乗艦して乗員を逮捕することなどは許されません。

 そしてこの免除は、たとえ軍艦が沈没したとしても失われることはありません。旗国が明確にその軍艦に関する権利を放棄するなどしない限りは、どの国の領海内に沈没したとしても、引き続きその軍艦は旗国に属することになります。そのため、たとえば平時に他国が勝手にその軍艦を引き揚げたり、あるいは艦内のものを勝手に持ち出したりすることは、基本的にはできません。

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ハワイ沖に沈む、真珠湾攻撃に際して使用された特殊潜航艇「甲標的」(画像:Public domain/Lone Wolf Productions提供)

 ちなみに、たとえば武力紛争中に一方の国が敵国の軍艦を海上で捕獲した場合、その軍艦に関する権利は捕獲した側に移ります。そして、そこで何らかの要因によってその軍艦が沈んだ場合、それは捕獲される前の旗国ではなく沈没時の旗国、つまり捕獲した国の軍艦として取り扱われることになります。ただし、一度沈んでしまった敵国の軍艦を捕獲することはできず、捕獲というためには当該軍艦が水上に浮かんでいるときにそれが行われなければならないと考えられています。

【写真】「水中文化遺産」の定義的に沈んでいるのかいないのか…戦艦「伊勢」

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