沈む軍艦は誰のもの? 露艦「モスクワ」はウクライナの「水中文化遺産」になれるのか
南の海に沈む旧日本海軍の軍艦がダイビングスポットになっているという話を耳にしますが、現状でそれらの所有権はどこにあるのでしょうか。そうした、沈んだ軍艦と「水中文化遺産」をめぐるお話です。
巡洋艦「モスクワ」を「水中文化遺産」に
2022年4月21日、ウクライナ国防省は自身のFacebookページ上で、ロシア海軍黒海艦隊の旗艦であり、同年4月14日に沈没した巡洋艦「モスクワ」について、これを「水中文化遺産に登録した」と発表しました。
「水中文化遺産」とは、2001(平成13)年の国連教育科学文化機関(UNESCO)総会において採択され、2009(平成21)年に発効した「水中文化遺産保護条約」で定義されているものです。ウクライナ国防省によると、「モスクワ」はウクライナにおける2064番目の水中文化遺産にあたるとのことです。
同条約はそもそも、トレジャーハンターによる沈没船やその積載物の違法な取引への対応として起草されており、商的利用の禁止や原位置保存(移動や引揚げできない)を原則としています。
「モスクワ」はウクライナ軍の攻撃によって沈没したとされていますが、しかしそれでもれっきとしたロシア海軍の軍艦です。そのような「モスクワ」をウクライナが、引き揚げできない水中文化遺産に登録することなどできるのでしょうか。
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