沈む軍艦は誰のもの? 露艦「モスクワ」はウクライナの「水中文化遺産」になれるのか
かつて沈んだ軍艦の「所有者」は誰?
このように、軍艦は沈没してもなお引き続きその国に属するものとして扱われるため、この軍艦に関する権利も引き続きその旗国が有し、さらにそれは単に年月の経過によって失われるものでもありません。たとえば、太平洋戦争中に沈没した旧日本海軍の軍艦に関しても、日本政府が放棄するまでは基本的に引き続き日本の国有財産として取り扱われます。
実際に、1943(昭和18)年6月に山口県の周防大島沖で爆沈し、1000名以上の乗員が命を落とした旧日本海軍の戦艦「陸奥」に関して、それから約30年後の1970(昭和45)年から開始された作業により民間のサルベージ会社がこれを引き揚げた際には、まず「陸奥」という国有財産の払い下げ契約が結ばれ、そののち引き揚げが行われています。
また、世界随一の海軍力を有するアメリカについても、たとえば1898(明治31)年2月15日にキューバのハバナ湾で爆沈した戦艦「メイン」号を含む、米西戦争中に沈没したアメリカ海軍の軍艦に関して、1908(明治41)年にキューバ政府がそれらの内の自国領海内に沈没した軍艦に関する権利の所在をアメリカ政府に確認したところ、アメリカが引き続きそれらに関する所有権を有すると回答しています。
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