「ビースト」だけじゃない バイデン大統領の車列は「動くホワイトハウス+ペンタゴン」だ!

「黒い救急車」と日本警察のアメ車バンの正体

 アメリカの救急車によく似た形状を持つ黒いトラックは、核・生物・化学兵器、いわゆる「NBC(CBRNとも)」攻撃を探知するセンサーと、それに対応する機材を搭載するハザードマテリアル・ミティゲーション・ユニット(Hazard Materials Mitigation Unit)です。備品や機密情報などを運ぶ、保管車両としての役割も持っています。

 車列後方に位置し、屋根上に大きなレーダードームが取り付けられた車両は、ホワイトハウス・コミュニケーション・エージェンシー(WHCA)の「ロードランナー」です。このクルマは、車体後部に「機密情報施設」を組み込んだMC2V(Mobile Command and Control Vehicle)で、その名の通り、移動式の指揮通信車両としての役割を担っています。

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アメ車ながら日本のナンバープレートを付けた警視庁所属のシボレー「エクスプレス」(深水千翔撮影)。

「ロードランナー」は暗号化された衛星回線を用いて、大統領専用車「ビースト」とアメリカ本国のホワイトハウス、そしてペンタゴン(国防総省)を常時つないでおり、同車が随伴していることでアメリカ大統領は電話や無線だけでなく、ビデオ会議といったあらゆる手段で指示を出すことが可能となっています。

 また「ロードランナー」は車載式のレーダーシステムを搭載していることで、ミサイルの飛翔やドローンの飛来も検知することができるとされています。

 バイデン大統領の車列にはこのほか、襲撃された場合に反撃を行うシークレットサービスのカウンター・アサルト・チーム(CAT)を乗せた車両や、指揮通信機能を持つ警視庁の警護車なども加わっていました。

 2023年には広島市でG7サミットが開かれることが決まっているため、来年も日本でアメリカ大統領の車列を見ることができそうです。

【了】

※一部修正しました(7月15日19時40分)。

【黒い救急車を前から横から】アメリカ大統領専用車に随伴する30台をイッキ見

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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