“爆走トラック自走砲隊” ウクライナを駆ける フランス供与の「カエサル」いま必要なワケ
フランスが供与した装輪式自走砲「カエサル」。ウクライナ軍での運用が始まりました。とはいえ、引き渡された数は10両強とあまり多くありません。ただ、それでも牽引式とも装軌式とも違う「カエサル」ならではの使い方があるようです。
トラック型自走砲「カエサル」が持つメリット
今回のロシアによるウクライナ侵攻を受け、フランスは同国への軍事援助の一環として155mm装輪式自走砲「カエサル」12両を供与しています。この数はアメリカなどが供与した牽引式の155mm榴弾砲M777などと比べると決して多くはありません。
むしろ陸上自衛隊の特科部隊に当てはめると、1個大隊分(10~15門)程度にしかならない数ですが、ウクライナはどう使おうと考えているのか、「カエサル」が持つメリットと合わせて見てみます。
そもそも、「カエサル」は6輪駆動の軍用トラックをベースに、長砲身の155mm砲を荷台部分に搭載しているのが特徴ですが、装輪式(タイヤ駆動)のため、悪路走破性では装軌式(いわゆるキャタピラ駆動)の自走砲に劣り、敵の攻撃を受けた場合も、防御装甲が皆無のため脆弱です。
ただ、こういった弱点がある一方で、大きな長所も存在します。履帯式車両は最高速度が遅く、また燃費やメンテナンス性が装輪式と比べ悪いことから、長距離移動の際は鉄道や重量物運搬用トレーラーなどに載せることが一般的です。それに対して、「カエサル」は足回りがトラックのままであるため、路面事情さえ良好なら最大速度100km/hで長距離・長時間にわたって走り続けることが可能です。
また軽量なので、輸送機や大型ヘリコプターでの空輸も比較的容易に行えるというメリットもあります。なお、フランス製とはいえ口径155mmはNATOの統一規格なので、アメリカ製の長射程・精密誘導砲弾M982「エクスカリバー」を撃つことも可能です。
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