「敵基地攻撃能力」のハードルが異様に高いワケ 対レーダーミサイルも必須だけど…?
「対艦」「対地」などミサイルにもいろいろあるなか、「対レーダー」というカテゴリのものがあります。日本の「敵基地攻撃(反撃)能力」議論に欠かせないものですが、導入すればあとは大丈夫、というものではなさそうです。
新型ミサイルが続々登場 高まる北朝鮮の脅威
2022年4月25日(月)、北朝鮮の首都 平壌では、朝鮮人民軍創建90年に合わせた軍事パレードが過去最大の規模で開催されました。このパレードにおいて、アメリカ本土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「火星17」や、既存のミサイル防衛システムでは迎撃が難しいとされる極超音速滑空兵器の「火星8」など、北朝鮮がこれまでに発射してきた数々の新型ミサイルが姿を見せました。
こうした北朝鮮の新型ミサイルの登場は、北朝鮮の軍事技術レベルの大幅な向上を示すもので、日本にとっての軍事的な脅威が日に日に高まっていることを示すものといえます。そこで注目を集めているのが、こうしたミサイルなどを発射前に地上で破壊することなどを目指す、「敵基地攻撃能力」に関する議論です。
名称変更も中身は変わらず 「敵基地攻撃能力」とは
敵基地攻撃能力に関する議論が始まったのは1950年代前半で、特に1990年代以降は、おもに北朝鮮による弾道ミサイルの発射実験を受けて、北朝鮮の弾道ミサイルを地上で破壊することを念頭に置いた議論が展開されるようになりました。
最近では、「敵基地『攻撃』能力」という呼称から、国際法上許容されない「先制攻撃」と混同される、あるいは一般にネガティブな印象を与える恐れがあるとして、「敵基地反撃能力」と改めることを自民党が政府への提言として取りまとめています。しかし呼称を変更したとしても、敵基地攻撃能力自体の内容が変更されるわけではなく、実際上の意義が乏しいとの指摘もあります。
敵基地攻撃能力というと、敵のミサイルを破壊するための長射程ミサイルを保有することとイコールで語られることも多いですが、実際にはそのような単純なものではありません。
2003(平成15)年、当時の守屋武昌 防衛庁防衛局長が、国会において敵基地攻撃能力を構成する4つの要素を答弁しています。ひとつ目は、敵の防空網に対する妨害やこれを破壊する能力、ふたつ目は低空飛行やステルス機など防空網をかいくぐる特殊な航空機、3つ目は目標を破壊する精密誘導兵器、そして4つ目は敵の位置を把握する情報収集能力です。
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