存廃問われる「福塩線」なぜ凋落? “南線”と“北線”で本数ケタ違い 変わってしまった地域の動線
バスも厳しく 細る通学需要
一方、三次市に編入された旧吉舎町以北では、三次青陵高校(塩町駅近く)など三次市内への通学利用が盛んで、福塩北線も三次~吉舎間には区間便が運行されるほど。吉舎駅近くにある日彰館高校への通学の流れも見られます。
ただ、福塩北線は朝晩以外の利用が伸び悩み、かつ2018年の「西日本豪雨」による長期運休後、家族の送迎に切り替わったまま通学生が鉄道利用に戻らないケースも多かったといいます。同様の現象は西日本豪雨後、芸備線でも見られました。
両線とも線路の保守状態があまり良くなく、徐行区間などもあるため速達性が発揮されません。災害による長期運休は、鉄道の利用者減につながる一つのきっかけでもありますが、もともとの鉄道としての信頼性の低さも原因の一つではないでしょうか。
ただ高速バス「ピースライナー」も、長らく維持してきた“年間利用者2万人台“をコロナ禍前に割り込んでしまうなど、安閑とはしていられない状況です。また2020年には新型コロナウイルスの影響で、「ピースライナー」「リードライナー」は他の路線とともにしばらく運休、甲奴~世羅間は“バスの代替バス”を準備せざるを得ませんでした。
福塩北線は、両端の府中・三次を除けば世羅町以外に核となる地域がなく、多くの区間で鉄道と並行する上下~府中市内の路線バスも同様に厳しい経営を強いられています。また近年は世羅高校も定員割れが生じており、全国優勝などの経験もある陸上部への入部希望者をはじめ県外にも入学の門戸を開くなど、生徒数の確保に苦心しています。もっともこれは福塩北線の沿線に限らず、各地の鉄道・バスは今後、学生の減少との闘いを余儀なくされそうです。
なお2018年からは、福塩線と一部並行する形で福山駅~三次駅間を結ぶ尾道道経由の高速バス「きんさいライナー」が運行されていました。世羅町内で道の駅を経由するなど、鉄道とルートの棲み分けを図っていましたが、利用者は最初の7か月で500人と目標を大きく下回り、2020年に運休となったまま復活していません。福山市・三次市ともに県内有数の都市としてバス・鉄道が整備されているものの、“対・広島市”以外の需要を掘り起こすのは難しかったようです。
どれだけ利用者が少なくなっても、公共交通はなくなってはならない。
少しでも人件費削減、人手不足解消のためにはやはり無人運転のバスが必要不可欠となると思う。
一日も早く事故の心配のない無人バスの実現を願ってならない。
「3両編成の電車が1時間に2本走ります」とありますが、通常は2両編成がほとんどで一部4両編成(2+2両)があります。3両編成は朝夕のラッシュ時の一部のみです。ジェイアールアールの普通列車編成表にも記載がありますのでご確認のほどどうぞよろしくお願いいたします。
ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。