存廃問われる「福塩線」なぜ凋落? “南線”と“北線”で本数ケタ違い 変わってしまった地域の動線

列車こなくても「駅は結構賑わっている」?

 しかし福塩北線の沿線の駅を訪れると、日中の運行がなくなって10年が経過しているとは思えないほど人の流れを感じることができます。

 備後矢野駅では独自メニューのうどんに定評がある「びんご矢野駅内食堂」、甲奴駅ではお好み焼き「美里歩(オリーブ)」と、駅舎内での店舗として雑誌・メディアでの登場も多い飲食店が営業を続けています。また備後安田駅や吉舎駅のように、駅構内へ生花や書道が飾られ、列車が来ない時間も地元の方で賑わっている場合もあります。

 ただ上下駅以外は主要道から離れており、駅に進入する道路も狭隘なまま。前述した長期運休時のバス代行の際は、バスが駅前の狭隘路に差し掛かり、運転手さんがルートを指示したJR社員の方に「こっちでいいの? 本当にこっちでいいの?」と何度も確認する場面も見られました。

 鉄道からバスへ転換するにしても、既存の駅を経由するかどうか、ささやかな賑わいの場になっている駅をどう活用していくか、といった課題が挙げられます。

【了】
※一部修正しました(6月22日16時53分)。

【存廃危機は“北線”】福塩線の地図ほか 画像で見る

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

3件のコメント

  1. どれだけ利用者が少なくなっても、公共交通はなくなってはならない。
    少しでも人件費削減、人手不足解消のためにはやはり無人運転のバスが必要不可欠となると思う。
    一日も早く事故の心配のない無人バスの実現を願ってならない。

  2. 「3両編成の電車が1時間に2本走ります」とありますが、通常は2両編成がほとんどで一部4両編成(2+2両)があります。3両編成は朝夕のラッシュ時の一部のみです。ジェイアールアールの普通列車編成表にも記載がありますのでご確認のほどどうぞよろしくお願いいたします。

    • ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。