「サポカー限定免許」1か月 見出せぬメリット 高齢社会に対する何かが足りない!
それにしては、切替タイミングもサポカー選びも、難しい
このようにサポカー限定免許は、高齢社会の解決策になる可能性を秘めているのですが、現実が追いついていません。
新車の生産が安定せず、購入を決めても数か月待ちということも珍しくない現状では、まず対象のサポカーに乗り換えた後に限定免許に書き換えないと、運転免許条件違反に問われる可能性があります。リスト対象外の車両を運転した場合の反則金は7000円、違反点数2点のペナルティが待っています。
免許事務手数料も見直す必要があります。サポカー限定免許への書き換えは、普通免許保持者であれば無料です。ところが、対象車両より大きなクルマを運転できる「中型」「大型」免許を持ったままだと、中型や大型を返納して新しい普通免許(サポカー限定)を申請することになり、手数料2050円が必要になります。
数十年前に普通免許を取得した人は、その後の免許制度の変化により自動的に中型の限定免許へ切り替わっているケースが多いです。免許更新時ならば普通免許への切り替えも無料でできるのですが、切り替えを検討した運転者の中には「わざわざ免許を書き換える必要はないのではないか」という思いを持った人もいます。
警察庁が指定したサポカー限定免許で運転できる車両は、衝突被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い急発進抑制装置の両方を備えている必要があります。新車か中古車かは問いませんが、装置が後付けされた車両は対象外。警察庁がサポカー限定免許対象車としてリストに掲載された型式だけです。2020年以降に型式認定を受けた国内8社、123車種347型式、軽自動車をはじめとして、コンパクトカーやタクシー専用車両なども含まれていますが、輸入車はありません。
日本自動車工業会の市場調査によると、高齢者になるほど買い替えの意欲は低くなります。その点で、さらにサポカー限定免許へ切り替えるハードルは上がります。
警察庁にサポカー限定免許の運転者の反応を聞きました。
「今のところお答えできることはありません」
限定免許希望者の安全意識を評価する工夫が待ち望まれます。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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