「サポカー限定免許」1か月 見出せぬメリット 高齢社会に対する何かが足りない!

運転者の高齢化を背景に登場した「サポカー限定免許」。必要性はあるものの、ご利益が見出せないなか、制度は定着するのでしょうか。AT限定免許は30年かけて広がりましたが、高齢運転者の問題に時間の余裕はありません。

鈍る自主返納 戸惑わせる感染リスク

 高齢者の運転をめぐる認識は、東京池袋で暴走事故が起きた2019年に大きく変わりました。事件が免許の自主返納を促したものの、その動きは鈍っています。警察庁統計によると、この年の自主返納は約60万1000件でしたが、2021年は約51万7000件と大きく減少しています。

 ニッセイ基礎研究所 村容子准主任研究員のレポートは、生活の変化による自主返納の鈍化を指摘します。

「日常生活が戻りつつある現在においても3密となる可能性がある公共交通機関の利用は減少したままで、自家用車や徒歩などが増加する傾向が続いている。(中略)65歳以上では64歳以下と比べて公共交通機関の利用が減少している割合が高く、自家用車が手放しにくい状況であることが推測できる」(基礎研レポート2022年5月11日)

Large 20220616 01
後付け安全装置の例。サポカー限定免許では対象外となる(中島みなみ撮影)。

 高齢者事故の増加とともに、取得年齢の制限や返納を迫る論調が強まっています。講習と検査の見直しで、一定の違反歴と検査の両面から認知機能の低下が判断されれば免許更新ができない制度も、サポカー限定免許の創設と同時にスタートしました。

 しかし、65歳以上の自動車免許取得者は1907万人(2021年)います。高齢運転者の安全性をいかに高めるかが、迫られた課題です。

【「免許の条件等」に何て書かれる?】サポカー限定免許証の例 画像で見る

最新記事

コメント