エアバス機の型式名「A3?0」のナゾ 「A380」だけ仲間外れナゼ? 始まりが「A300」だったワケ
「A380」が仲間ハズレとなった経緯とは?
この機が「A3“8”0」とされた理由のひとつは、総2階建てという比類なき収容力で、当時世界最大の旅客機ボーイング747を凌ぐ座席数であることをアピールする狙いがあったとされています。
A380は、カタログ・スペック上、客室仕様次第で“8”00人搭乗可能な旅客機とされました。多くとも550人程度だった747に対し、収容力を大きく引き離すことができます。A380の「8」の字は、これをモデル名でもアピールすることができます。
A800としてしまうのも良案ではあったのかもしれませんが、それまで実績を積み上げてきた「A3●0」のモデル名の伝統を引き継ぐことは、その信頼性をアピールすることにも繋がりますから、この「A380」はちょうどいい落とし所を探った結果なのかもしれません。
ちなみに、ライバルであるボーイング社のジェット旅客機では、ボーイング707が最初のジェット旅客機として製造され、その後727、737、747、757、767、787が開発されており、1桁目と3桁目の7は固定され、その間の数字がおおむね増えていく傾向にあります。将来797がどのような飛行機になるのか、797の後はどのような名称となるのかは、注目されるところです。ボーイング社の命名法則から外れた旅客機に「717」があるのですが、これは追って紹介できればと思います。
現在エアバス社の最新型機となっている「A350」に継ぐ新型機は「A360」となるのでしょうか。それとも「A390」となるのでしょうか。はたまた全く違うモデル名がつけられる可能性も否めません。ただどちらにせよ、革新的な旅客機となる可能性は非常に高いように思われます。
【了】
Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)
成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。
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