世界が注目「エリザベス女王の棺を運んだグレーの飛行機」実は米国製 垣間見える英空軍の転機
英空軍の歴史を物語る「グローブ・マスター」導入経緯
一方、イギリス空軍では2001年にC-17「グローブ・マスターIII」の運用を開始しました。
戦後しばらくのあいだ、イギリスの軍用航空界には、とある“暗黙のルール”がありました。それは、欧州系の航空機を使用することが原則。アメリカ産の機体であっても、エンジンに欧州製のものを搭載するなどしていました。
たとえば戦闘機では「タイフーン」、輸送機ではエンジンのみ英国製とした「ハーキュリーズ」、練習機では「ホーク」などがこれにあたります。ただ、しばらく前から米国ロッキード・マーティン社が開発した輸送機「ハーキュリーズ(米国ではC-130)」、同戦闘攻撃機「ライトニングII(米国ではF-35)」などエンジンを含めた“純アメリカ”の輸入機を正式採用する傾向もあり、C-17もこの一環です。
ただし、C-17の導入経緯は、他の“純アメリカ機”とは異なります。イギリス空軍のC-17は、当時開発が遅れていたエアバスのターボプロップ輸送機「A400M」が導入されるまでの“つなぎ”的な役割で導入されました。リース導入だったのもそのためです。ただ、その高い能力から自国での購入に切り換えられることとなり、いまや立派なイギリス空軍の“正規メンバー”になったのです。
しかし型式名についても、イギリス空軍は独自のこだわりがあるようで、アメリカ式の「グローブ・マスターIII」ではなく、現在は「グローブ・マスター」と呼称します。
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