坂道はどこまで急にしていいの? 全国基準よりキツくてOK/NG それぞれのご当地事情

昔ながらの道路には恐ろしく急な坂もありますが、いまは一定の基準より急な坂道は造られません。そうしたなか、あえて基準以上の急坂を造ってよいとした街も。逆に、全国より緩い基準の勾配で造らないと死活問題、という地域もあります。

なぜあえて「きつい坂」OKに?

 では、なぜ長崎市は、よりきつい勾配の道路を作れるようにしたのでしょうか。

 急勾配の地で全国の勾配の基準に合わせて道路を作ろうとすると、多くは栃木県の「いろは坂」のようにうねうねしたり、迂回したりする道路になります。そうすると道路は無駄に長くなって多くの用地が必要になり、道路整備費や完成までの時間も余計にかかってしまいます。そこで、勾配の基準を“緩く”することで、急勾配ながらまっすぐな道路を作れるようにしたというわけです。

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長崎市の取り組み。勾配の基準を緩和することで、車道の整備をしやすくした(画像:長崎市)。

 勾配がきつくてもいい場所とは対照的に、道路の勾配を緩くしないといけない場所もあります。たとえば、北陸地方の坂は最大勾配6%、大型トラックの走行が多い道路では最大勾配4%までが限度とされています。降雪が多いため、坂を上れなくならないように傾斜を緩くしているのです。

 ちなみに、道路構造令の制定以前には、もっときつい勾配の道路が無数に作られています。クルマが通れる道で有名なものでは、大阪と奈良の境にある「暗峠」の最大勾配37%が挙げられるでしょう。100m進むと37m上がる坂を意味し、これは12階建てのビルの高さに匹敵します。

【了】

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