新会社就航予定で注目「佐渡空港」のいま 海路一択の現状 なぜ空路が根付かなかった?

佐渡空港、実際に行ってみた

 佐渡空港は1958年11月に佐渡飛行場として開設。1971年には県空港として供用が開始されました。両津港より約4kmの場所にあり、滑走路の長さは890m、その一方は湖(加茂湖)に面しています。かつては日本国内航空や新中央航空、新日本航空などが定期便を就航させていましたが、2014年より運休状態が続いています。

 佐渡空港の空港ビルは、1階建ての小ぢんまりとしたものでした。館内にはカウンター、ソファのある待合室、化粧室などの設備があります。一方で、通常の空港のような大型機械のある保安検査場、売店といった設備はなく、いうなれば公園の管理棟のようなイメージです。

 その空港内には、トキエアの就航を願うポスターや、空路の開設、そして滑走路の延伸を訴えるパネルが掲げられています。

 佐渡空港に就航した定期便が相次いで運休となってしまったのは、この滑走路の短さも理由とされています。890mだと就航できる旅客機は20席級のプロペラ機程度で、ジェット機の運航はまずできません。滑走路が長ければ発着できる旅客機の種類も増え、ひいては首都圏空港への発着も可能になるということで、2000mへの拡張整備を推進する動きも見られます。

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トキエアのATR72-600「JA01QQ」(画像:トキエア)。

 一方トキエアが使用するATR72-600は70席クラスのプロペラ旅客機。スペック上、890mでは重量などの制限なしでは滑走路の長さが足りない状況です。

 そこで同社では、現在開発が進んでいる「ATR42-600S」を導入し、佐渡線へ投入する計画の検討を進めており、2021年には同機に対する取引意向書を締結しています。ATR42-600SはATR72-600を一回り小型にした、40席クラスのターボプロップ機。最短800mの滑走路で離着陸が可能なSTOL(短距離離着陸)性能が特徴で、このモデルであれば佐渡空港へも難なく発着できます。なお、ATR42-600Sの初号機納入は2025年初頭を予定しているとのことです。

 長年、地域航空会社にとって“鬼門”のひとつだった佐渡空港。もしかするとトキエアが、この空港に新たな風を吹かせてくれるかもしれません。

【了】

【写真】うおお超コンパクト! 佐渡空港の館内などをチェック

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コメント

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1件のコメント

  1. 根付かなかったというより、ジェットフォイルと上越新幹線の影響だろう。1978年ジェットフォイルが新潟〜両津を1時間弱で結んだので、まず新潟県民を含む鉄道利用者は飛行機を使わなくなった。まだこの時点では羽田〜新潟便があったので飛行機乗り継ぎ客で、航空便もある程度の需要があった。1982年上越新幹線が開業し羽田〜新潟便が廃止され、乗り継ぎ客も激減した。この環境は変わってないので、新会社がどういう戦略を持っているのかは注目している。成田便や関空便によりインバウンドを狙うんだろうけど。