JR西が開発する"列車以外の輸送手段"の実力は? 離れていても「3両編成」隊列走行BRTに乗る
「バスに付いていくバス」その乗車感覚は
自動運転により運転手の”手放し”で出発したバス。直線部分では30km/hほどのスピードが出ていましたが、安心して乗っていることができます。カーブ走行もなめらかで、違和感はありません。自動で運転していると言われなければ気づかないレベルです。
ただし、全体的に加速や減速にはぎこちなさを感じました。どちらもやや急で、がたんがたんと車内が揺れます。ここは今の自動運転技術の限界で、近いうちに克服されていくのだと思います。
今回の目玉となった隊列走行ですが、無人のはずの後続車に乗っていても、普段バスに乗っている感覚とほとんど変わりません。前車や後車との距離も広すぎず近すぎずといったところでした。今回は安全上の理由から後続車の運転席に乗務員が着席していましたが、特に緊急操作も行われずに無事終了しました。
車内アナウンスやドアの開閉は先頭車がすべて操作しているのですが、後続車と非常にスムーズに連携されていて、ドアの動きも全車ほぼ同時。まさに、バスでありながら鉄道列車のような体験でした。しかもこれらの車両は列車と違い、個々に連結されていないのです。実用化が非常に楽しみになりました。
JR西日本とソフトバンクは今後、テストコースでさらに運用検討や総合試験などを行います。そして2023年度中にはコース内での走行技術を確立し、2020年代半ばには自動運転・隊列走行の社会実装を目指すとしています。
「さまざまな大きさのバスを組み合わせることで輸送力は変わる。地域によって異なる輸送ニーズに対応する選択肢のひとつにすることで、よりよい交通網を築き上げていきたい」とJR西日本 鉄道本部副本部長 鉄道本部イノベーション本部長の久保田修司さんは今後についての抱負を語りました。
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Writer: 鶴原早恵子(鉄道好きライター)
大人になってから急に鉄道が好きになったフリーライター。地元・京都中心に、時間ができればあちこち乗り&撮りに行きます。駅で行き交う列車や人を眺めているだけで元気が出てくる。ローカル路線、海が見える路線・駅、駅カフェが好き。
運賃の支払いは、後続車ではどうやるのでしょう? これからの話ですかね?