「あれ、フェリー停泊してる…」偶然見かけた町長 ジャンボフェリー小豆島寄港の意外な裏側

ジャンボフェリー・山神社長に聞く

 ジャンボフェリーの山神正義社長によると、この小豆島寄港の実現は、偶然が重なったものだったといいます。

 ジャンボフェリーはかつて2隻の船舶で1日5往復、神戸・高松両港で1時間内に折り返しというタイトな運航体制をとり、小豆島からの再三の寄港要請に応えることができなかったそうです。

 しかし2008(平成20)年から世界中を襲った金融不況「リーマンショック」による旅客の減少で減便を余儀なくされます。それによって空いた時間は高松港に長時間停泊できず、沖合にアンカーを降ろして停泊、船上では乗組員が釣り糸を垂れて休憩していたのだとか。

 それを他のフェリーの船上から当時の塩田幸雄小豆島町長が発見し、「そこで停泊しているなら寄港してほしい」と改めて要請。検討の結果、航行時間の増加が30分ほどにとどまることもあり、山神社長も寄港を決断されたそうです。

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ジャンボフェリーの山神正義社長(宮武和多哉撮影)。

 観光産業が重要な柱である小豆島へのメリットが大きかった坂手港への寄港ですが、ジャンボフェリーにとっては、リーマンショック以降続いていた旅客輸送の低迷に歯止めをかけることにもつながりました。

 ジャンボフェリーの山神社長いわく、この寄港はリーマンショックがあったからこそ実現し、「ピンチがチャンスに変わった」もの。偶然が生んだ小豆島・坂手港への寄港は、双方にとって“win-win”だったといえるでしょう。

【了】

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Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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