形も能力もまさに“怪鳥”! 旧ソ連「最速のプロペラ旅客機」はどう誕生? 異形も高スペックゆえ
「世界でもっとも速いプロペラ旅客機」として知られているツポレフ設計局の「Tu-114」は、その能力ゆえ、ユニークな形状を持っているのが特徴です。どのような機体なのでしょうか。
高速&ロングレンジを実現…鍵はユニークエンジン?
ジェット旅客機なみの時速950kmという速度を記録し、「世界でもっとも速いプロペラ旅客機」として知られているのが、旧ソ連(現ロシア)のツポレフ設計局が手掛けた「Tu-114」です。1957年11月15日に初飛行したこの旅客機は、その速さだけではなく、形状もユニークなのが特徴です。
Tu-114の長さは約55m。胴体直径は約4mで、ボーイング社初のジェット旅客機「707」や、そのライバルのダグラス社「DC-8」といった、草創期のジェット旅客機とほぼ同規模の胴体が採用されています。ただ、Tu-114は、それらと比べると、より胴体がとても細く見えるデザインです。なお飛行距離は約9000kmで、707やDC-8より長距離を飛べます。
その胴体の細さを際立たせるのは、やたら脚が長く、腰高なスタイルをとっているためでしょう。これは冒頭の「高速性」ゆえの結果です。
Tu-114は、旧ソ連の爆撃機Tu-95の設計を基に、旅客機として開発した機体です。最大の特徴は搭載しているエンジンで、配置されているのはエンジン1基の同軸上にプロペラが二枚重ねられた「二重反転プロペラ」でした。
この「二重反転プロペラ」は、プロペラそれぞれを左右逆方向に回転させることで、エンジン回転方向の反対側に働く力「反トルク」を打ち消し、効率を向上させています。こういった工夫が、高速性実現の一因へとつながりました。
このように高速飛行と長い航続距離を実現したTu-114のエンジンですが、それゆえか、一般的なプロペラ機よりも遥かに大きなプロペラを搭載した旅客機となります。このサイズとしては異様に長い脚は、ベースモデルのTu-95の主脚を引き継いだためです。これは、規格外のプロペラを積んでも、地面との距離を十分に確保するためだったといえるでしょう。
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