「ジャンボ・ジェット」747半世紀の生産に幕 実は“地味機”だった?生みの親も予想外のヒットなぜ

半世紀以上に渡った、「ジャンボ・ジェット」ことボーイング747シリーズの生産が終了しました。ただ当初、この機が大ヒット機になるとは想定外のこと。それは「747の父」とされる人物にとってもそうでした。

「747の父」どんな人物だったのか?

 747を生み出す前のジョー・サッターは、ボーイングの3発ジェット旅客機727などの開発に貢献しました。しかしその後、同僚たちがSSTの設計陣へ配属された一方で、彼は志願者のいない747の設計に回されました。SSTは当時、花形と目されていたのに対し、747は地味な存在でした。サッターも、口数が少なく社内で目立たない存在だったそうです。

 サッターがワシントンへ出張し、747の型式証明をめぐり連邦航空局と激烈な議論をした後に、戻ったホテルで会ったSST開発陣の同僚がサッターへ「(747の開発は)うまくいっているかい。気を落とすなよ、そっちでうまくやったら、SSTのほうに呼んでやるからな」と “上から目線”で声をかけてきたこともあったと伝えられています。

 しかし、名を残したのはサッターでした。747が長年生産されたのは、SSTの失敗だけではなく、747自体の設計が良かったこともあるでしょう。その後、設計のベースは変えずにハイテク化させた747-400が生み出され、21世紀に入っても、そこから胴体を延長した747-8も誕生。こういった派生型にも対応できたことが、設計の優秀さを示しています。

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故ジョー・サッター氏(画像:ボーイング公式SNSより)。

 サッターは晩年に、少なくとも2度来日しています。その時に筆者の知人が会った印象は、「常ににこやかで写真の撮影にも気軽に応じてくれた。設計者のイメージとして想像しがちな気難しさはなく、年齢に比して血色もよく健康そうだった」ということです、

 口数が少ないことから、自らが手掛けた製品で力を示すのが技術者と思うタイプだったのでしょう。けれど、半世紀以上前は、サッター自身が歴史に名を残すとは思っていなかったかもしれません。

 52年間に及び、1574機も生産された747は、大型機として異例の長寿と言ってよいでしょう。サッターも95歳まで長生きをし、2016年に亡くなりました。大量輸送を担い続ける747と設計師の夢を実現し名を残したサッター、機体も人も初志を貫いたと言えるでしょう。

【了】

【写真】まだ塗装前! ギラリ光る「最後の747」の現在の姿とは…

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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