ステルス戦闘機の技術をクルマに…どうなる? スーパーカー名門×軍用機大手 異色コラボの真意

スーパーカーを開発・生産する英マクラーレンとステルス戦闘機などを開発・生産する米ロッキード・マーチンがコラボしたそう。それによってどんな工業製品が生まれるのかと思ったら、どうもモノを生み出すための協力ではない模様です。

極秘組織が民間企業とコラボする時代に

 発表内容を見る限りでは、両者のコラボレーションはエンジニアリング分野での協力が主体であり、戦闘機をモチーフにしたスーパーカーの誕生というような、わかりやすい成果物は見られないようです。ゴダード氏も前出のコメントで「長期的に顧客へ利益をもたらす」や「長く深いコラボレーション」と言っているように、今回の技術協力は一時的なキャンペーンというわけではなさそうです。

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ロッキード・マーチンのスカンクワークスが開発した初の実用ステルス戦闘機F-117、架空機「ダークスター」、そして手前のクルマがマクラーレンのスーパー・ハイブリットカー「マクラーレン アルトゥーラ」(マクラーレン・オートモーティブ)。

 もともと、スカンクワークスは冷戦期に極秘の軍用機開発を行うために立ち上げられた研究開発部門です。ゆえに、存在自体は極秘とされ、戦略偵察機であるU-2や世界最速の実用航空機SR-71「ブラックバード」などを開発し、試験場はUFO(未確認飛行物体)などで有名なエリア51を利用していました。

 しかし、そういった実績から現在では航空業界でもっとも有名な開発組織といえるほどにまで“ブランド化”しており、映画『トップガン マーヴェリック』では架空機の製作協力を行っています。

 今回、スーパーカーメーカーと技術協力を実施したことは、スカンクワークスの技術レベルが高いことを証明するものだといえますが、冷戦期には前述したように極秘とされ、ときにはKGBの調査対象にまでなった組織が、こうして堂々と活躍できるようになったことには、歴史の変化を感じずにはいられません。

【了】

【写真】いまだ保全措置で駐停車禁止のスカンクワークス社屋全景

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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