間もなく来日 ロシア戦闘機Su-30「フランカー」が世界の国々で使われるワケ 空自“初共演”へ

2023年、改良型が日本に来る!

 また、インドのSu-30MKIはロシア国外での運用ということから、アビオニクスにイスラエルやフランスといった西側の製品が使われているのも特徴です。同機は全部で約270機が生産されましたが、その大部分はインド国内での技術移転も含めたライセンス生産となっており、インド空軍の兵力だけでなく、同国の防衛産業の育成にも貢献しています。

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飛行するSu-30SM。ふたり乗りの複座型であることがわかる(画像:ロステック)。

 Su-30MKIが生まれたことで、その基本仕様をベースにして、アルジェリアとマレーシア向けのモデルも生まれており、それぞれSu-30MKA、Su-30MKM(最後の文字が国名を意味している)として生産・輸出されています。

 こうして輸出を重ねることで進化していったSu-30に対しての能力は、開発国のロシアにも魅力的に映ったようで、Su-30MKIをロシア仕様にしたSu-30SMが開発され、自国向けに生産されています。しかも、このモデルは、親ロシア政策を掲げて自国軍隊と協力路線を取るカザフスタン、ベラルーシなどにも輸出されています。

 前述したように、もともと「フランカー」と名前の付く戦闘機は各種あり、その多さゆえにファンの間でも混乱するほどのレベルです。その背景には機体の基本性能の高さと大型機故の拡張性の高さにあったようですが、一番の理由は用途に合わせて新しいタイプを作るロシアの開発方針にあり、このSu-30はそれを象徴する存在ともいえるでしょう。

 なお、2023年1月中旬には日本国内に初めてインド空軍の戦闘機が飛来します。来日するのはSu-30MKI、まさに前出のモデルであり、「フランカー」シリーズの戦闘機が日本国内で航空自衛隊の戦闘機と共同訓練をするのも初めてのケースだそう。筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)も注目しています。

【了】

【写真】茨城・百里基地に飛来予定のインド版「フランカー」ほか

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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