前脚ズレてる! イギリスのジェット旅客機なぜビックリ形状に? 高性能と引き換えになったものとは
なぜ前脚がズレたのか?
「トライデント」シリーズは、操縦機能に先進的なシステムを有していました。たとえば、現行の旅客機の多くで一般的となっている自動着陸(オートランディング)装置は、他社の旅客機より先んじて、「トライデント」に導入されたもののひとつです。
ただ、当時、こういった先進的な機能を持つ電装部品を収めるには大きなスペースを要するほか、その置き場も操縦室近くの機首部分に限られました。そのため、前脚を片方に寄せ、横方向に引き込む形式を採用することで、この部品を格納するスペースを確保したとされています。
「トライデント」は、1965年6月10日のBE343便(パリ ル・ブルジェ→ロンドン ヒースロー)で旅客機として世界初の全自動着陸を実施。また、旅客機として最初にFDR(フライトデータレコーダー)を搭載したモデルとも記録されています。
一方で、このような先進的な機能を備えた「トライデント」シリーズは、日本の航空会社での採用はなく、イギリスのBEA(英国欧州航空)や中国民航など数社が採用したのみ。ヒット機にはならずじまいでした。
ホーカー・シドレーの後進会社BAEシステムズによると、「トライデント」は、イギリスでは1986年1月に導入された騒音規制の影響をうけ退役、中国でも1990年代初頭まで運用されたものの、その役割を終え、現在は全機が退役しています。
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