中古車売場の端になぜフェリー桟橋? 阪神大震災&明石海峡大橋が命運わけた“神戸の海の玄関口”

実はいまも「災害時の港」として残っている

 東神戸フェリーセンター跡地は、カー用品店を展開する「オートバックスセブン」に貸し出され、同社が運営を請け負うかたちで、2000(平成12)に「サンシャインワーフ神戸」が開業。しかし一帯はいまも「耐震強化岸壁」として地域の防災計画にも位置づけられ、災害時に救援用の船が発着できる機能を残しています。

 よく見ると岸壁は防舷材(船と岸壁の衝突を和らげるクッション材)が数か所整備され、「世界一長い雲梯」も取り外しが可能な作りになっているようです。ただ、この岸壁のため本格的な防潮設備を作れず、2018(平成30)年には周囲一帯が高潮で浸水するなど、課題も残っています。

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ジャンボフェリーもかつては、東神戸港に発着していた。写真は2022年の新造船「あおい」(宮武和多哉撮影)。

 2棟あったターミナルビルのうち1棟(東側)は廃止後すぐ更地となり、現在は「サンシャインワーフ神戸」のうち1棟(「ヤマダ電機」「びっくりドンキー」などが入居)に。もう一方のターミナルビルは、港を管理する関連会社の拠点として残されましたが、既に新社屋が建設され、移転ののちに解体工事を行う旨が早くから告知されていました。

 なお、この建物の屋上にある「KFC」(運営を請け負っていた会社「神戸フェリーセンター」の略称)ロゴ看板もそろそろ見納です。ただ、神戸市はアルファベットの頭文字が「K」ということもあり、「神戸フレートセンター」「神戸定住外国人支援センター」など、KFCを略称とする施設が他にもいくつかあります。

【了】

【ギネス認定!「世界一長い雲梯」】“神戸の海の玄関口”のいま&地図(画像で見る)

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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