「スパイ気球」が領空侵犯 日本はアメリカのように撃墜できるのか 現状を鑑みると…?

アメリカ中を騒がせた中国の「スパイ気球」は、F-22「ラプター」による撃墜という幕切れを迎えました。同様の事態を日本も迎える可能性はあるわけですが、果たしてアメリカのように、撃墜という対応はとれるのでしょうか。

今後はどのような対応が望ましい?

 とはいえ、日本の領空を侵犯しつつ、悠々と情報収集をしている気球を放置することが望ましいとはとても思えません。実際に自民党や日本政府内でも、今後の気球に対する対応が検討されているとの報道もあります。

 前述したように、現状では気球の撃墜は難しいわけですが、今後どのような対応の可能性が考えられるのでしょうか。

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撃墜した気球の部品などをソナーで捜索する、アメリカ海軍爆発物処理グループの隊員(画像:アメリカ海軍)。

 ひとつ考えられる方策としては、自衛隊内部の規則を新たに改定し、偵察を目的とした無人気球の撃墜を可能とするようにすることです。そもそも現状、対領空侵犯措置での武器使用が厳しく抑制されているのは、武器使用はすなわち航空機の撃墜につながり、搭乗員の命が失われる可能性があることを踏まえて、軽率に武器を使用することを防ぐためと考えられています。よって、無人の気球であればその点を考慮する必要はありません。

 また、対領空侵犯措置に関しては、基本的に国際法上認められる措置をとることとされています。冷戦時代の1960(昭和35)年にアメリカの高高度偵察機U-2をソ連が撃墜した事例など、自国の領空内で偵察飛行を行う軍用機を撃墜することは国際法上、許容されるとの見解も、学説や国家の実行として数多く見られます。

 したがって、今回のような偵察を目的とする無人気球を撃墜することができるよう、新たに自衛隊内部の規則を改めることも選択肢のひとつではないかと、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は考えます。

 中国をめぐる情勢が厳しくなっている中で、日本としてどのような対応を行うことになるのか、注目が集まります。

【了】

【画像】やっぱりよく似ている…2020年に東北地方で目撃された「謎の気球」

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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