羽田空港「空の海上保安庁基地」の超精鋭たち「特殊救難隊」の訓練に密着 舞台は日本全国!

羽田航空基地には海保唯一の救難機も

 特殊救難隊員を現場へ運ぶのは、羽田航空基地の航空機です。同航空基地にはパイロット、整備士、通信士など約100人が所属。配備されている航空機は回転翼機(ヘリコプター)が2機、固定翼機(飛行機)が4機の計6機で、機種は前者がエアバスヘリコプターズ製EC225LP「スーパーピューマ」、後者がボンバルディアDHC-8 Q300とガルフストリームVで各2機ずつとなっています。

 特にEC225は海上保安庁が保有する機体の中でも一番大きい全天候型のヘリで、双発エンジンであることから飛行時の安全性が高いと評価されています。

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東京モノレールの整備場駅至近に位置する海上保安庁の羽田航空基地(深水千翔撮影)。

 隊員に話を聞いたところ、出動時は乗員5名に加えて特殊救難隊員が2~3人乗り込むとのことで、洋上救急の場合はさらに医師や看護師を乗せて現場海域へと急行するそう。そういった状況に対応できるよう、機内には寝た状態の要救助者を2~3人ほど収容できるスペースが設けられています。

 最新の電子機器とオートパイロットを採用し、巡航速度は260km/h前後、航続距離は950km程度と優秀な性能を持っているうえ、任務に応じてさまざまな装備品を搭載することができます。

 機体側面に設置されているホイスト救助時に使用するケーブル巻き上げ装置は、万が一に備えて電動と油圧の2系統を用意。洋上救急の現場では、船舶から救助された患者への処置をヘリの機内で行う必要があることから、振動低減装置も備えられています。

 近年の実績では、2022年8月にリベリア船籍の貨物船で、人命を救った事例があります。父島付近を航行中の同船から「乗組員1人が脳卒中の疑い」との118番通報を受けた海上保安庁は、医療機関の助言から至急、病院に搬送する必要があると判断し、洋上救急を発動。航空機に医師と特殊救難隊が搭乗し、八丈島から南東162km付近の海上で疾病者を機内へ収容しました。機内では容態観察や応急措置を行いつつ羽田航空基地に搬送し、ドクターカーへ引き継ぎ一命を取り留めています。

 海上保安庁の羽田航空基地は、羽田空港の北西端に位置し、民間機が発着するターミナルビルなどと離れているため、活動内容もわかりにくいかもしれません。それでも、同航空基地に所属する機体は、空港や羽田イノベーションシティの足湯広場から眺めることができます。見かけた時は、日本の海の安全と人命を守っているんだなと、思いを寄せてみて下さい。

【了】

【特別に取材】海保の精鋭「特殊救難隊」も参加した洋上救助訓練の様子

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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